他店様にて半年ほど入庫していたが調子が良くならなかった…とか。
調子が改善されることなく納車されたとの事で、弊社に入庫の87年式FXSTC。
いわゆるお困り案件です。
他店様での診断では、エンジンに問題がある、とのことで、エンジンの腰上を開けて、キャブにも問題があるから、キャブも交換させられたのだ、と。これで調子が良くなると聞いていたが、一向に調子が良くなる事なく納車された….と。
ふむ。お話を伺う限り、走れるような状況ではね、なさそう。
引き取りに伺い、トランポに積んで持ち帰り、エンジン始動し診断するも・・・・。一瞬で分かりました。こりゃ点火です。アドバンスしてない音がする。こんな状況ではキャブのチューニングすら出来やしない。キャブのチューニングも必須ですな。
状況を鑑みて、一応、確実な裏付けが欲しく。
応急で点火一式交換してみると、すこぶる良好。
もう、ブルンブルン、いつでも走れまっせ〜!な回り方。
この時点で誤診だったということが裏付けされてしまう。
誤診を受けたのは、ワタシメ。ちょうど1年前に喰らってまして、苦い思い出。
風邪っぽいな〜と思い、風邪薬を飲むも、どうも回復に向かわない。39.4℃の高熱でいつもとは違う様子でもインフルかと疑い内科を受診。
この時点で点滴を受けなければならないほどの高熱と、倦怠感。接触診断をされるも背中を触って激痛が走り、腹部を触ってもなんともないことにドクターが首をかしげた事はハッキリとオボえている。
その時は、ウイルス性の胃腸炎と診断。カロナールと他の薬を処方された。
「ウイルス性の胃腸炎???」と心当たりのない診断が腑に落ちないまま、藁にもすがる思いで薬を飲むとだ、2時間後にさらに症状が悪化。
左の背中からシャレにならない激痛が走る。キャン玉を絶えずデコピンされているほどの痛みと云うと判るだろうか。そして、なんと、血尿が出だしたのだ。血尿が出た時の「只事ではないな・・・」と実感する感覚。経験者にか解らんだろうね。
のちに聞いた話では、この時処方された薬の薬疹も原因だったとか。何が処方されたか今では解らないが、そう聞いた。
その後、深夜に耐え切れず夜間緊急に駆け込むことになったのだ。この後41℃超えの熱が10日続くことになる。
結論、ウイルス性胃腸炎と聞いていた診断から、実は腎臓に問題が起こって腫瘍と化していた。その後摘出手術を受けて今に至る。座薬のロキソニンを処方で熱が下がり4時間寝れればいいところ。冗談抜きで死にそうだった丁度1年前。
・・・平素から誤診だけは気をつけているが、身に沁みて経験した事だった。そりゃ、状況をみて一応裏付けが欲しく、応急で点火一式交換してみたくもなるって話(苦笑)
最近のハーレーは、ここが悪いです!と自己診断してくれる。スピードメーターにも表示可能、診断するパソコンを接続すりゃ具体的に判るようになっている。そうはなってないエボハーレー以前は、経験と勘が試されました。
ま、最近の車両でも診断結果と修理箇所が異なる事例も経験しているから思うのは、失ってはいけない経験と勘。メカニックは機械のお医者さん。機械が優れたといえどポンコツじゃ勤まらない。メカニックに求められるスキルって上がる一方。日々精進する気持ちに加え、行動が必要だよな。
点火一式をツインテック・インターナルイグニッション1005に交換。
ついでにクラッチも軽くして欲しいとの事で、ボール&ランプを交換。滑りのよいクラッチケーブルを組み付け。
エンジンがルンルン言うて回ってます。
その後、ダイノルームにてチューニング。65馬力超えの出力が出ました!
お預かりから1週間で納車。
本日、北に向かって走っていく姿をお見かけました。ガンガン走っちゃってください。
Posted by M.Yasuura