CVO SE110エンジンのオーバーホール / 2010y FLHXSE


105,000kmほど走行したFLHXSEのオーバーホール、と、その他、ご依頼頂きました。
 
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オーディオの診断…音がブッツブツ切れて、鳴らなくなってしまうトラブル。エンジンのオーバーホール前は振動も結構ありましたので、それが関係しているかなぁと探る。

 

フェアリング内部に仕込んだパワー・アンプのRCAケーブル接続部がフェアリングと接触してた事で接点不良が起こっていた。前任者がこのオーディオを組み込みしている時からRCAケーブルの事は危惧していただけに歯がゆい….
 
思う対策を施して、次はトラブルが起こりにくいように….。
 
これで、ようやくなり始めるも、やっぱりまだ変….
 
調べてみると、純正デッキ背面のカプラー接続部の接点不良。
 
純正デッキは新品が購入できるものと思い込んでましたが「US本国へ送っての修理一択」(げげ!) の為、弊社在庫にあったロードグライドのUsed デッキと入れ替えてみら….ズンズン….おー!音が綺麗になる!!よっし。これじゃ!
 
FLTRは前後スピーカーがなく調整機能が少ないですがデジテクを用いオーディオのソフトウェアを変更する事で音量調整など元どおりに使えるようになります。(ディーラーのTメカさんに電話で確認を取りました。御忙しい所、ありがとうございます)
 
パワーアップ・デッキそれぞれが原因で音質不良、上手く鳴らないとなっていた。
 
 

ついでにチューニングヒューズへ交換。オーディオの音質アップなど、一定の評価があります。
 
 

足回りは少し前にベアリングの入れ替えをしたばかり。
この度は、先日発売したばかりのブレーキパッド / 27Rに入れ替え。ちらっと見える赤いチラ見せ。
 

フロントはダブルディスクなので2セット / リア1セット 合計3セット。
 
 
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この度の本丸であるエンジンのOHは、クランクケースまで割って行なった。
 
 

OH前の健康診断 …. 結果は、SE110にしてはボチボチでござった。
 

ダイノルームでRO TESTを施した直後、冷めきる前にSE110エンジンを卓上に取り出す。
 

 

Compensating sprocket / Sliding cam も傷んでいたので、修理兼ねて、コンペンセーターのアップグレードにて対処。
 
 

プッシュロッドカバー下部に注目(オイル漏れ)
 

エンジン降ろして目立つのが、各所からのオイル漏れ。
 
 

ここから、一気にバラしていく。
  

 

 

 

 

 
 


 
 


 

 

振れにくい対策が施された3ピース・クランク(フライホイール)へ入れ替え。
 
ここが振れる…Runout値が大きいと、本当にいい事がない。少ないに越した事はない。
 
Runout値が増える事で、クランクの軸上に取り付けられたもの全てに影響がある…. 、 それは、カムサポートプレートと、オイルポンプ。
 
チェーンドライブであればフローティングされるのでギアードライブ時のような直接接触による神経質さはないが、それでも振れが大きいとカムサポートプレートをコジりまくり、トロコイドギアを不要に押しやりオイルポンプのボディをえぐり、逃げ場がなくなるほど振れてしまうと、最悪はトロコイドギアを真っ二つに割ってしまう。
 
サービスリミットの1.5倍まで大きく振れた車両も見た事があるが、これでもオイルポンプは割れなかった。そんな真っ二つに割れるのは稀にしか聞かない話ですが…。 何より、エンジンがスムースに回る事に対しての抵抗になる。…Runout値が大きいと、本当にいい事がない。少ないに越した事はない。
 

キー溝加工が施され、クランクピンにプラグを圧入された事により、純正品より強く、それでいて滑らか。
 

クランクには安心と安定が欲しいですね。こいつは、そんな簡単にゃズレません。
 

簡単にズレません。その大前提があるから、この3ステージ仕様のオイルポンプが使える。戻り側がカム側とクランク側とでトロコイドギアが独立になっているのが特徴。独立になっていると、確実にオイルが戻せるメリットがある。
 
一つのギアで二つの経路を受け持つと、どっちか片方がオイルがない状況が生じてしまった時が大変だ。
 
オイルが吸えなくなると、空気を吸う。空気を吸い込んでしまうと空気ばかり吸い上げられ、すべてのオイルが戻せなくなる。
 
この事に気付くまでに、悩まされた事がありましたね…。2005年とか、そのくらいの頃の話ですけどね。
 
 

オイルポンプは「送るより、戻しに注目」ですよ。
 
 

この度はあくまでオーバーホールなので、ピストンも純正を用いる。
 
SE110に元々インストールされているピストンはマーレのピストンと言うのはとても有名な話。

前期モデルのSE110と、後期のSE110では、実は異なります。
 
この事は、当ブログで触れるのは初めて。
 
2010年ごろは鋳造のピストンだったものが、高年式のSE110ではマイナーチェンジ。
 
後期型の方は、黒々としたフォスフェートコートと呼ばれるマーレ特有のコーティングが施された鍛造ピストン。
 
より、信頼性の向上を図る….それがピストンリングからも確実に見て取れました。
 
リングは、当社でもオリジナルで発売したエボ用ピストンで採用したマーレ製のウルトラフラットリングが、後期型のSE110には採用されてます。
 
この度オーバーホールにて組み込んだのも、同じくマーレ。パフォーマンスアップは望まれてはおりませんが、信頼性の向上に寄与する箇所に関わるところは、それが純正・社外に関わらず採用して欲しいとのオーダー。
 
判りやすい部品交換を行ってのパフォーマンスアップというのも、それはそれ。ここの部品を….形状を….メーカーレベルで行う細かいモディファイというのも、興味深いですね。
  

(((こちらのエボ専用のマーレピストンKITも宜しくです!)))
http://www.45degree.net/Tuning/engine/MAHLE.html
 
 


エンジンマウントも交換。これで随分シャキッとします。
 
 

スロットルボディも交換。
 

こちらが新品のDBWスロットルボディのギア部を開けた図です。(ここは開けてはならない箇所です、開けないように♪)
 

こちらは、当車両に105,000kmほど使われたいた2010年モデルのDBWスロットルボディのギア部。
 
特に多用する、スロットルブレード開度の浅いギア接触面は摩耗が認められます。ピニオンギアは全然問題なしですがドリブンギアにやや難あり。
 

オーバーホール後。初期慣らしを済ませ、最新のテクニックを持って、再チューニングを。思惑通りなら、体積効率値が変わるはず…. と期待。期待が結果に。嬉しいですね。
 
どのタイミングでチューニングして、再構築するかによるけれども、同じSE110でも結構変わるもんだな…。いい排気音を奏でてます。
 

 
 

 
 

オーバーホールと、各所メカチューンを施して完成です。
 
完全な状態にて、納車を望まれるオーナー様。ヒートサイクルでの慣らし運転を行い、再チューニングを済ませての、納車となりました。
 
排気音にも良い変化が現れ、エンジンちゃんもルンルン言うてます。エンジンから伝わる振動にも変化が。振動が、明らか、まろやかになりました。

このSE110には、メンテナンスとチューニングの両面から行った。オーバーホールと、いわゆる「メカチューン」。これにより、SE110エンジンでの過去最高を塗り替えました‼️
 
ハズレの車両だ・アタリの車両だ、という言葉がありますが、「狙ってアタリの車両を作り上げた」といえば解り易いですかね…。
 
オーナーさんが、これまで走って来られた105,000キロの中で、新たなスタートをきるに相応しい一番の出来に仕上がっています
 
 
納車後、オーナーさんから早速コメント頂きました。(転載)
 
めちゃ、楽しめました。ハハハ(^_^)
パワーアップされたエンジンをすぐ感じることができました。高速では、6速でひとたび吹かすと、気持ちよく伸びていきました。皆からもマフラーの音が太くなったと、言われます。力強い音になりました。‼️ハハハ(^_^) まだまだこれから、色々な乗り方で楽しみたいと思います。
 

 
 
今後とも、宜しくお願い致します!
45 / 保浦

「CVO SE110エンジンのオーバーホール / 2010y FLHXSE」への2件のフィードバック

  1. 正田様

    この度はオーバーホールと、その他、ご依頼頂きありがとうございました。これからも、たくさん走ってくださいね。 こちらこそ、今後とも宜しくお願いします。

  2. 保浦さん、この度はありがとうございました。
    100,000キロを過ぎ、OHをお願いして良かったです。
    この先10万キロを目指すということで、お願いしました。
    いたるところで最新の技術、パーツを使ってもらい、その通りの楽しい走りが出来るようになりました。
    オーディオ関係については悩ませましたが、原因がわかり安心しました。
    これからもまだまだハーレーライフが続くと思いますので、今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。
    有難うございました。

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