ワイグラの続き….. / 1980y FXWG改


あたー。ギアが欠けちゃってます。こりゃ、変えんといけんですわ。
 
 


ここ、スプロケットナット。締まってなかったデス。周り留めで辛うじてその場に居ました。その為、メインドライブギアがスムースに遊んでおりました。
 
 
 
 
 
 

キックアームの戻りがやたら弱かったのはキックギアの位置が適切でなかったのが原因。
 

スタッドは緩々で…スレッドシーラントを塗布の処方。
 

T/Mのオイル漏れどめ、 T/Mギア一式入れ替え。
 
 


ドライブチェーンも、磨耗が進んでおり交換の判断。
 
 

チェーン交換。PBチェーン100Link(O-ringシールタイプ)
 
 

プライマリーチェーンも交換。常時オイルで潤滑出来ない、ドライブチェーンと同様な環境なのでシールチェーンに。
 

ここに薄いシールが見える。Uリングと明記されております。
 

厚み増しは0.5ミリと上々。
 
 

腐食があちこちあったクラッチシェルは腐食をウエットブラストで飛ばして乾燥潤滑。
 
 

クラッチのフリクションプレートとスチールプレートも。ここはウエットブラスト使えないので地道に手作業で腐食を取り除き使える様になり、念入りに乾燥潤滑を施す。浸みこめ〜浸みこめ〜。 
 
 
…………
 
 
 
 

診断時に確認。めっちゃ二次エア吸ってましたので、ここも。
 
ここしっかりしているのは、チューニングの上で大切な土台となる。
 
 

むむっ。マニを取ってみたら、ヘッドは段付き、マニは段無し。巨大な凹み空間が生じている。できればマニの方を変えOリング仕様にしたいが仕方がないのでここは段差を埋める処方。(黒い部品) 念の為エンジンとの接触部は特殊なフランジシーラントをドレッシング。
 
 

あと、使われていたマニクランプも….私は使わないタイプなんです。
 
 

ぎゅーっと締め付けると、丸い形が楕円になる。
 
つまり、締めすぎると楕円が生じ、シールに隙間が生じる=2次エアを吸う。
 
かといって締めないと隙間が出来るし、シールが痩せてきたら…..等々、経年変化を考慮するとある程度締め付けたいのに、締め付けたら隙間が生じる…のせめぎあい。
 
加えて、マニとエンジンとの間に生じる凹み空間までクランプで覆ってしまうと、そこにガスケットが逃げてしまい、組み付け時は良いが長い時間をかけ、そこに亀裂が生じて二次エアを吸うのがイカリングタイプで二次エアを吸う典型的な症状。
 
 

このクランプは本当によく使っている。諸説ありますが、色々吟味した上で選定。本当はバネみたいなタイプが良いのですが、それってどうやって組み付けたら….(以下省略)
 
このクランプの特徴は、カシめるとクランプ同士が滑りを生じスライド。強く締め付けてもガスケットには隙間を生じさせない。
 
よくハーレーでは純正で各所取り外しに厄介なクランプが用いられてますが、それのお化けみたいに大きなサイズのものです。
 
  

エンジン側とマニ側の両端をクランプしシールする事で、マニとエンジンとの間に生じる空間までクランプで覆わない為、そこにガスケットが逃げず、亀裂が生じない事で典型的な二次エアの生じ方にはならない。

 

赤いシリコンガスケットが硬くて太くて、それにほぼサイズが等しいクランプ。
 
組み付けには少々難儀しますが、もともとタンク取らないと難しい箇所なので、もう一手間って感じ。綺麗に強くカシメると綺麗に伸びてゆくシールの締め付け感は抜群で吸い付く様に沿っていく様は二次エアを生じさせない強い意志が残る。
 
 

キャブは割と最近に新調された様子。本当に調子が優れなかったのでしょうね….。ジェットサイズを確認するとデフォルトのまま。
 
 

キャブ周りが完了し、次は点火を。
 
 

セミトラからフルトラへ。
 


コイルもデュアルファイアーからシングルファイアーへ。スパークプラグコードはスパイラルタイプ。 
 

安定したキックでの始動性と、ガバナーを無くす事でのメンテナンス省略化が目的。
 
ガバナー進角の支配から、フルトラの0〜40°まで自在なマップタイプなのでシームレスに走りも抜群に良い。
 
ガバナー進角も悪くはないのですが、ちょうど良いところのバランスの追求はなかなかシンドい。しっとりした雰囲気のアイドリングをさせつつ、アフターファイアーにも配慮させるという曲芸はフルトラなら容易い。0〜40°まで自在なマップタイプに優位性がある。
 
 

ブレーキフルードが漏れ漏れで。
 
 

マスターシリンダーをO/H
 
 

Swage Line-PRO でブレーキラインを一式フルオーダー。
 
 


漏れは無くなりました。これでフロントブレーキ使えますね。
 
 

クラッチのキレも抜群。
 
 

エンジン熱々での再始動もスマホ片手ですんなり。
 
 

試運転にGo。
 
 

ここは神の倉山。
 
 

神の倉山往復の60kmコース。 (ショートカットして白木に抜ければぐるっと回って往復50km)
 
 

蛇足ですが、足のポジションとスプリングで浮遊する状態のピリオンシートが相まり、18歳ごろ乗っていたチョッパーを思い出す。
 
 

これです。懐かしいなぁ。18〜19年前。この時はシート改造してリジッドフレームに沿う様にしてあるけど。
 
二階から足を下ろすスタイルで踏ん張れず、浮遊した状態で股関節をホールド。フォワードコントロールは、慣れてないと股関節が悲鳴をあげますが慣れていても浮遊した状態で股関節をホールドは相当キツい。バイクで走りながら筋トレしている気分。
 
ちなみにこの日、試乗で身体がバキバキになり疲労困憊で晩飯はコーヒーゼリーがやっとでした。
 
 

プラグの焼け色も確認。シャシダイナモ上だけでは片付かない事は走行をもって確かめる。理想的…は理想であって、実情とは異なることを経験から重々承知。ちゃんと使えないと意味がない。確かめる。キックオンリーでは非常に重要。
 
 

試運転中、フォークからのオイル漏れを確認。
 
 

ここのシール不良(硬化)と、内部のOリング不良が原因。走らせてみるまで把握不可だった箇所ですが修理を済ませ。写真にはないですが、フロントキャリパーのマウント不良も見つけ。ボルト長さが足りてない….。危ないところでした。
 
 

いざ、再び試乗。70キロ以上コース。
 
 


完成。特別コメントはなく、ただ、身体がバキバキ。
 
あの頃果敢にチョッパーを駆り日御碕往復400kmした私は遠い昔であることに気づかされた試乗。燃え尽きました。
 
今日はコーヒーゼリーではなく、パスタを2人前食べました。
 
 
Posted by M.Yasuura