ミルウォーキーを107から124へボアアップ / 2017y FLTRU


この度は、こちらの車両。


フロントの26インチが特徴的なカスタム車両。


2017年のFLTRU、車検ついでのボアアップ ご依頼頂きました。ありがとうございます。
 
既にカムが変わってチューニング済みらしいのですが、低速トルクがなく、乗りにくいとか。本当にカムが変わってるのか????とお客様コメント。当社営業スタッフTKSも走ってみて同様のコメントでした。おおよそ「なぜ?」の原因は解るので確認せず取り掛かる。
 
 
….問答無用で、化けさせましょう。
 
 
 
 

ズババッと取り外し。
 
 

取り外した純正シリンダー・ピストン・シリンダーヘッド 。
 
 


気になるのを見つけた。このシリンダー内の腐食痕は、なんだ? 以前、走行400kmで分解した114ミルウォーキー でも、同様な状態を見つけたが…。
 
 

しかし、ピストン上部のカーボン堆積が、少ないですね。9000kmほどの走行です。
 
 

ミルウォーキー8で採用されたペントルーフ型シリンダーヘッドは、正しく現代的な燃焼室。コンパクトで、冷却損失も少ない。
 
そして、ペントルーフ型の特徴でもある中央に配置されたスパークプラグは、ミルウォーキー8では構造上中央に置くことが叶わない事で燃焼室の最外部にそれぞれ備わる「ツインプラグ仕様」になっていると考える。
 
中央にあるものは、ACR(オートマチック・コンプレッション・リリース)
 
 

ピストン側、スキッシュエリアでは、カーボンの堆積が少ないところからも、ミルウォーキーでは高い燃焼速度が起因する事で、独特な点火タイミングになる理由が容易に想像がつく。
 
 

それにしても、プラグが煤けてます。
 
 

ヘッドも、ささっと綺麗にしておきました。
 

この度用いるキット。S&Sの124ボアアップ。
 
 

S&S 製の、特徴的なピストン形状。
 
 

ピストンリングを見ると…え?? 思わず二度見。「m top」の文字がある。マーレのリングだ。
 
 

セカンドリングの先端形状もマーレ の、それと同じ。これにはちょっと驚き。これまでマーレのピストン以外に、マーレのリングだけを採用しているのは見たことがないから。どうせならピストンもマーレ にして頂けると、かなりグッと来るんですがね….。
 
 

ピストン径は、かなり大きい。100mmオーバーともなると….
 
 

私の、グーも楽勝で許容してしまう内径サイズ。
 
 
タペット

タペットですが、タペットって、なんなの???って思うでしょう。ちょっとご紹介。
 
 

タペットとは、カムと、プッシュロッドとの間に設けられた、衝撃緩和装置。
 
カムシャフトの直上に配置され、カムの動きを、プッシュロッドを介して上部に位置するバルブへ、カムシャフトの動きを伝達する。従来、ソリッドタペットという装置で生じていた「カチャカチャ音」を無くすために設けられ、油圧タペットといわれている。カムシャフトのサスペンション的な存在。
 
 

このような、金属表面がムラムラになっている状態を、サービスマニュアルの記載を見ると、「霜降り」とされ、特に問題がないとされている。
 
経験上、こうなってしまうと、割と早い段階でダメになってしまうのを、よく見てきている。
 
サービスマニュアルの記載はそれとして、置いときますが、「霜降り」と呼ばれる状態になっている状態は、これまで、あまり見かけてこなかった。ショベルとかエボで多かった。
 
パターンとして、タペットがこうなってるとカムも一緒になってるものでしたが、ミルウォーキーや、後期のツインカムからは、タペットだけが、こうなっているものが、やたら多いと感じる。これは、現場での意見です。タペットそのものの、製造工程で、何かが、変わってしまったのでは??と思っている。
 

タペットを交換する処方。
 
 
□ 対策部品 その1

同時に、オイルポンプも交換。2017年モデルが登場したその後、改良された物が登場している。
 
 
□ 対策部品 その2

2019年から標準装着の、シール付きカバーも装着。ブローバイガスを減らすことが出来る。
 
 
□ 対策部品 その3

タペット カフスという部品。純正のプラスチック部品から、アルミ部品に改めるパーツ。
 
ネジの周り留めに、特殊なワッシャーを仕込むのは私の流儀。カフス装着時に生じる調整時間の大幅な短縮と、締め付け時以上のトルクが生じないと緩める事ができない構造の為、緩むことがない。ロックタイトよりもはるかに確実。
 
これらの1〜3の対策は、無理に一緒に組み込まなければならないものではありません。ご予算との兼ね合いで、省略することも可能です。
 
 

カムシャフトを開けてみると、あら? 高耐久仕様のベアリングに変わってない。交換の処方を。
 
 

 
 
 

これから、慣らッシングを行う。
 
 

ボアアップしたら、車検は….?の答えはこちら。申請を行う。
 
同時並行して、改造申請の書類を提出して、車検に備える。
 
 
 
https://www.45degree.net/order.htm
お問い合わせはこちらから。
 
 
posted by M.Yasuura
 
 
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