V-RODのインジェクションチューニング


2007年式のVRSCDX ナイトロッドスペシャルのインジェクションチューニングでお預かりしました。今回はパワービジョンを使ってのセッティングとなり、純正ECMをフラッシュチューニングする類でV-RODをセッティングするのは今回が初となる。
 
V-RODというのは、ポルシェが技術提供したなどという話も聞くが、実のところどこまでの技術提供なのかは把握してない。V-RODの乗り味がポルシェっぽいかと言われれば、そんな雰囲気は微塵も感じない。アメリカンスタイルをしたシャーシの股ぐらにレーシーなV型2気筒DOHCエンジンを搭載した「V-ROD」としか言いようがない。各機構などをみているとこれまでのハーレーとは異なるモノづくりを感じさせる。その者の精神は、作り出すものに宿るという言葉があるが、その観点で見ていくとアメリカンな造りとは違う精神を感じた。
 

各気筒別にされたスロットル上部には長さの異なるファンネルが設けられている。
 

この排気量には十分すぎるほどの大口径スロットルブレードを非線形スロットルでコントロールしている。非線形にするとアクセル開度に対するスロットル開度を二次曲線的にさせる事で、アクセル操作に対してのエンジントルクがリニアになる。考えるに大口径スロットルブレードを使う事に対しての配慮なのだろうと見受けた。しかし、アクセル開け始めでは線形スロットルの方がトルクが発生する事から、V-RODのエンジン特性を見ても高回転で高い馬力を発生させるこのエンジンではアクセル開け始めでは滑らかすぎてしまい排気量相当の強力な前進力を感じようとすると、相当頑張ってグィッとアクセルを開くことになる。これまでのハーレー的概念である大きいエンジンで太いトルクで流して走るような感覚を期待されると、落胆されてしまうかもしれないな、とも思った。
 

この度はエアエレメントをK&Nにてセッティングに挑みます。
 
 

パワービジョン内に用意されているデーターは年式と車種によっては存在しない事もあるので、こうなると色んなデーターが入っていると期待を膨らませてパワービジョンを購入した人は、奈落の底へ突き落とされる結果になるので、DynoJet既存のデーターを入れ替えて、自分で遊んでみたい人は要注意。
 
このVRSCDX用のデーターも存在しなかった事から、純正データーを抽出し車体からのECMデーターを計測器を使いロギングし検討しながら専用のプログラムを作りセッティングを行いました。
 
 

そして、馬力は99ps→106psへ。トルクは9.34kg-M → 9.75kg-Mへと、それぞれアップ。セッティング前は大きく燃調が狂っている所もありましたが、そこも問題なく解消されました。パワーチェックのグラフで見ても、そこまで大きく目立って変化は無かったが、3500rpmまでのトルクは最大で2kg-Mもアップした所もあり、乗った時にもその変化は十分に感じられまして、セッティングを合わせた結果が確りと出た。セルでエンジンを目覚めさせた時の様子も、以前より数段力強くなりました。