エンジンを積み替え
<古き良き時代>を手に入れる


 1994年 FLSTCへ S&S製 P93 CTO スペシャルオーダーコンプリートエンジン パンヘッド型エンジンを搭載。

 丸いパンヘッドのロッカーカバー・アルミ・ダイキャストシリンダーヘッド・アイアン(鉄)シリンダー。それら、往年のエンジンが有していたスタイルを可能な限り忠実に再現されたS&S製 P93 CTOスペシャルオーダーコンプリートエンジン。

 ノスタルジックな外観のエンジンに熱を入れると、エンジンから香る「焼けた匂い」はまさに往年のエンジンそのもの。だが、その外観とは裏腹にエンジンの内部は、現代のテクノロジーと工作機械・ダイキャストマシン・最新の材料で作られたもの。

 シリンダーヘッドのバルブサイズもインテークが大きく・エグゾーストが小さい形状で、これも現代主流の方式で当然だが無鉛ガソリン仕様。インテークマニホールド形状はショベルと同様の形状になりオリジナルのパンヘッド以上に安定した燃料気化状態を実現している。

 

 
ロッカーアームは同社製ローラーロッカーアームを標準装備。エンジンオイルは油圧タペットよりプッシュロッドを通じてロッカーアームへ供給されるエヴォリューション以降で採用されている方式と同様。ヘッド周りの安定した潤滑状態が保てる。

 これら、良いところは残し、見直すところは見直され、根本的に改善すべき点を解消した、このP93 CTOエンジンと、すでに設計から60年以上は経過するオリジナルパンヘッドエンジンのリビルド品と比較はするべきでない事を念のため書き加えておく。

 

 

 そこから更にこのP93 CTOエンジンのコンプリートエンジンという素材を用いて45ディグリーにて更に手を加えている。エンジンの恒久化と、このP93 CTOエンジンが持ち合わせているウイークポイントを改善する工程をも踏んでいる。

 コンプリートエンジンを、そのまま使うに、どうかという疑問はこれまでの経験やインジェクションチューニングを通し感じる部分があったがエンジンを開けなければ見えてこない。

 コンプリートエンジンというのは、素材としてみると非常に良いもので、この土台は重要であるが、やることはやっておきたい。

 これはコダワリであります。

 

 ヴィンテージスタイルモーターへ 積み替えたソフテイルの印象

 

 それらを済ませたP93 CTOエンジンの走りは、不快な振動は少なく、エヴォ・ソフテイルフレームと相まり、心地良い振動のみ味わうことができる。

 ボア×ストローク3-5/8"×4-1/2"の工程から繰り出す1520ccの排気量。そこから生み出す底力に溢れた走り、そして、半円球燃焼室とドームトップピストンが生み出す緩やかな火炎伝播。見た目のノスタルジックなイメージをそのままスープアップした、スタイルも走りの雰囲気も壊さない、むしろ高めたS&S P93 CTOエンジンは、底力と共に適度な「ユルさ」を持ち合わせた乗り味で50km~60km位の速度域が特に気持ちが良い。

 アルミ・シリンダーヘッドからスラリと伸びる柔らかなアールを描くエグゾーストパイプを、パンヘッドモーターを搭載したソフテイルフレームに対して肉厚スチールパイプを用いて注意深くワンメイクし、クロームめっきを施した。ソフテイルフレームでも違和感なく往年のルックスを彷彿させたと感じている。

  キャブレターはS&S Super-Eキャブレター。イグニッションはデジタル制御のパソコンを用いて書き換えが可能なシングルファイアーイグニッションモジュール。0°~40°までの振り幅がありその時の回転数で適切な点火タイミングを弾き出し打ち込む事が出来る。ガバナーを装着していないので、ここのメインテナンスはしなくても良くなっている為、元のエヴォと使い勝手は変わらない。

 また、エンジンオイルの粘度も20W-50と、こちらもエヴォと変わらない。

 こちらの94年式FLSTCが元々持ち合わせるウインカーのオートキャンセラー機能、フレームの安定感などが一切変わらず、更にアフターパーツが非常に手に入りやすく、これまでの使い勝手や環境も変わらない点がオーナーとしては非常に嬉しいはず。慣れ親しんできたソフテイルの心臓部のみ「ヴィンテージスタイル」のものに交換する、というイメージが適当でしょう。

 

 エンジン載せ換え後の改造申請


我々は日本に住んでいます。載せ換えました、はい、終わり!というような、某国のような「物語」では済まされません。

 肝心なのは、日本の道路を走るための「改造申請」です。これを確実に行い国土交通省の許可を頂き日本国内の車検制度をクリア。

 車検証にもマル改の証をしっかり刻み、エンジンにも職権打刻を行い、胸を張って公道走行可能。車検の度に困る事は全くありません。

 

 スピードを出して愉しむ訳でもなく、安定感に満ちたシャーシに身を委ね、疲れた肩と心を癒すような、何も考える事もなく、頭の中真っ白で、何の変わりもない、いつものデフォルトのコースをパーシャルで走り、「ハーレー最高や・・」そう、思いながら、ガレージで眺めて楽しめる一台。玄人を満足させる一台。

 信頼性、耐久性、パワー、操作性。

 すべてに於いて向上が果たされたS&S P93 CTOエンジン。

 ソフテイルのディテールを見た目も、サウンドも、魅了する。

 

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