排気量の変更について…. / 改造申請 / 公認 / 車検

さて、今回は、排気量の変更に伴う、車検に関する内容を並べます。
 
改造もしたいし、車検も関心がある、リーガルに事を進めたい、そういう人には興味のある内容かと…。
 
 
 
 
この中には、ショップさんでも、ディーラーさんでも、知らなかった内容が含まれている。かも….しれません。
 
以下読み進める記事はそのような内容が含まれる可能性があることを前提に読み進めてください。
 
これまでは「知らなかった内容」が、これからは「知っている内容」になる可能性もある。
 
 
 
しかし、大事なのは「過ちがないことではなく、過ちを改める事….」 
 
業界の、これから5年先・10年先を見据えると、大切なことの一つだと考えての配信。
 
 
 
それでは….お付き合いよろしくお願いします。
 
 
まずは、大前提の話から。
 
 
 
 

大前提の話

 
 

まず、改造は、やってもOKという事実。
 
ただ、それは
 
一定の基準を満たしたものである事。

 
 
 

その1 排気量の変更は改造

 
 
 
ピストン交換をする場合
 
一部を除き「改造」に当たります。
 
 
 
・改造ではない例
ハーレー社が販売する補修の為のオーバーサイズピストンであれば、改造ではありません。
 
 
 
・改造となる例
ハーレー以外が販売する「オーバーサイズピストン」では「改造を行ったもの」に該当する。
 
 
 
 
※ 同じオーバーサイズピストンでも、ハーレー(自動車製作者)が「補修を目的としているか否か」で変わる。これは私の主観ではなく、審査事務規定の別添 4(4-15 関係) 改造自動車審査要領に明記されている内容であることを念のため付け加えておきます。
 
 
 
 
と、いうような事なので。
 
 
ボアアップがどういう立ち位置かは分かりやすいですね。
 
 
 
一般的に表現される「ボアアップ」とは
 
「排気量アップ」が明確な目的。改造となる。

 
 
 
 

そして、改造自動車の届出の必要な範囲として
(2)原動機の ②原動機の総排気量を変更するもの / ボア・ストロークとあり….
 
 
 

この改造自動車の届出というものが、「改造申請」
 
これをPassしたものが、改造箇所に関しての公認車両となります。
 
 
 
 
 

https://www.45degree.net/blog/?p=22257
 
 

・ポイント

ここで大切なのは、改造をしてはいけない、とはなってない事。
 
改造はしても良い。ただ、それは
 
一定の基準を満たしたものである事。

 
 
改造を行った場合のプロセスについては、明記されておりますが、それについては後に明記します…。
 
 
 
 
 
 
 
 

….今回はそれが大前提での話

(細かい話、ズコーッとすっ飛ばします)
 
 
細かい話はこちらを(..って見ないかな、改造自動車審査要領へのリンクです)
https://www.naltec.go.jp/publication/regulation/fkoifn0000000ljx-att/fkoifn0000000oax.pdf
 
 
 
 

その2 排気量変更は構造変更ではない

 
 
やっとここにきた感。 
 
 
排気量の変更は
構造等変更検査….すなわち、構変(こうへん)に当たるか。
 
 
 
 
 
正解はNO
 
 
排気量変更は構造変更ではない。
 
 
 
 
 
(構造等変更事由事項)
 
これは、道路運送車両法の38条に明記されています。
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=326M50000800074#494
 
 
正直に申し上げますと、私。検査員の資格を取りに行き、車両法にどっぷり浸かるまで第38条について、さっぱり把握しておりませんでした。
 
……それまでは、構変だと思い込んでいた。
 
 
 
 
構造変更等になるもの。
 
主に、外観から判断できる内容、寸法の違い、整合性、用途、形状など。 
 
 
エンジンの、内部のことは含まれない….エンジン番号が変わると違うけど。という感じ。
 
 
排気量だけ変えたのなら、構造等変更検査には該当しないんですよね。
 
 
……….これは即ち何を意味しているのか、というと。
 
 
 
 
排気量の変更だけならば
 
記載変更になる

 
 
 
 
即ち
 
「車検を切らずに排気量アップの申請が通せる」という事。
 

 

珍しいパターンなので窓口の担当者さんが困惑されるはず…。時間もかかります。
 
 
 
ただし、継続検査で持ち込める状態で、排気量だけ変わるという場合に限ります
 
↑これ、かなり重要。この判断は、車検に対し、それなりに知識を持った人でないと判断が難しい事がある。「検査の知識」は、整備系とは全く別分野だからバイク屋さんだから知ってるという話でもない。 
 
これを満たしていない場合、検査ラインで指摘され、後の測定ラインで構造変更検査となります。
 
 
 

検査の知識は、この自立可能な 分厚いBookに記載されている。
 
 
 
 
 
 
可能性が高い、具体的な例を挙げると。
 
 
1:新車購入間もないXL883N。
 
2:1000ccのボアアップをし排気量変更!
 
3:新車登録時から車枠の変更がない (!注意必要!)
 
4:車検有効期限の変更なく記載変更でOK。

 
 
 
 
 

・ポイント

 
排気量が変わる内容だけならば。
 
車検の取り直しには、ならない。
 
車検の準備を整えて運輸支局に持ち込む。
 
記載変更の場合、車検有効期限が十分に残った状態ならば自賠責の延長は不要。
 
検査費用も不要。排気量の変更と申し出ることで、検査ラインは通らず、計測ラインのみになる。
 
この際に、名変など、継続窓口以外で行う内容を織り混ぜないよう注意。システム上のエラーが発生し、長時間書類待ちになる。
 
記載変更ではあるが、車検証を弄るため、管轄でのナンバーである必要がある。
 
 
 
  
車検証の住所変更で、車検の有効期限に影響がないのと同じ扱い。
 
住所変更ならば、車両は必要ではありません。
 
ですが、車検が伴う車両の「排気量の変更」となると支局での検査が必要となる。
 
通常の二輪ラインは通らず、計測ラインに並び、検査員の確認が必要となります。
 
 
 
つまりこれが車検に該当する項目となるわけですが、一定の条件を満たしていると、車検の有効期限に影響がない、記載変更となる。
 
 

ここの測定ライン通過時に必要となるのが、適切な改造申請書類の提出によって検査部からの「決済が降りた状態」の、改造自動車審査結果通知書 (略して”通知書”)  (車検証の隣にある、用紙です)
 
 
 
 
ここで注意が必要ですが、排気量は変わるけども、記載変更となる場合の条件。
 
あくまで、継続検査で通せる状態が前提。
 
先ほどからくどい程繰り返していますが、重要なところだから。
 
 
 
・うっかり、やってしまいがちな例
新車買ってそのままで、カスタムしてないから….は 本当に要注意。
 
 
これ、思い込んでるとトラップにかかります。
 
 
 
新車買って何のカスタムもしてないのに
車検証に記載される寸法と、車両との寸法が違う、なんていう事、実際にある。
 
もしこれがあって、いくら支局で訴えても「違うものは違う」で片付けざるを得ない状況です。それは車検証と変わってるという判断から、そうせざるを得ないのです。
 
 
なので、まず。車検証に記載されている数値を要チェック。
 
 
乗車定員の変更も要チェック。(一人乗り。二人乗り)
 

ちなみに、「構造等変更検査」に該当する車枠の変更は、車検証に記載される数値から
 
高さ ±4センチ
長さ ±3センチ
幅  ±2センチ
 
と明記されています。(指定部品は含みません…… 指定部品とはユーザーの趣味により取付け交換する頻度が高く、安全の確保、公害に支障をきたさない一般的に流通している部品で、簡易的または固定的な取り付けであること。例: デタッチャブルのシールドを付けた場合、もしくは外した場合もこれに該当する)
 
高さについては変わりやすく、幅は変わりにくもの、という認識。
 
 
 
 
もし、構造変更になってしまったら….?
 
それはそのまま検査を通したらOK。

 
ただ、車検の有効期限に影響することをお忘れなく。
 
場合によっては短くなることもあるかも。
 
車検の有効期限が変わっても差し支えなければ、問題なしです。
 
 
 
どちらにせよ、支局へ持ち込むことに変わりはなく
 
車検を受ける心構えのもとで挑み、検査を通す。
 
その結果、記載変更か、構造変更か、この違い。
 
 
 
以上、車検の有効期限を変えず、排気量の記載を変える方法について記述しました。
 
 
 
 
 
 

その3 改造申請をするには?

 
公認には、改造申請書類の作成が避けて通れない。
 
書類の体裁が整っている上に、その書類を持って検査員を納得さすだけの説明が求められる。
 
ゴネゴネしても良いことはない。
 
 
  
車検のついでに
 
「わしゃ、このバイクの排気量を上げたで〜 ナんccじゃけぇ」
 
と公言して、検査員が
 
「あ、はい、そうですか!」
 
と。さくさく〜〜っと….
 
排気量の数字を変え….てくれる訳が….ないない
 
というか、、、そんな事したら、大ごと。
 
検査ラインでどエラい目にあいます。
 
危険が危ない。
 
そんなユーザーさんは いらっしゃらないとは思いますが
 
念のため…..。
 
 
 
 
改造の詳細や、強度検討、保安基準に適合するものか検討したものを添付し、それにまつわる紐付けの書類も添付したり。
 
事前に管轄の運輸局の検査部にて、書類審査が必要です。
 

それが改造申請書類。

 
 
車検証の数字をいじるだけに思われますが
 
ハンドルの幅とか高さが変える時とは大きく、異なる。
 
頭痛が痛くなる。
 
 
 
 
・改造申請の流れ

まず、運輸支局の検査部を訪ねてください。
 
必ず、車検証の原本または写しを備え、向かって下さい。
 
初めて行うような改造内容は、事前に、検査部へ相談に向かうことを勧めます。
 
広島の中国検査部なら、支局の二階、階段登って左の奥が検査部です。検査員の詰所が検査部です。
 
この検査部は、検査ラインが稼働中は担当者不在となります。
 
一般的に検査が終わった16時以降が相談、となっておりますが
 
だいたい、16時30分以降でないと不在ですね。
 
検査が遅れていると17時過ぎになることも、しばし起こります。
 
待ちましょう。
 
(ちなみに17時15分が定時となり、この限られた時間しか相談の受付は行ってません)
 
そのうち、疲れ切った検査員さんが、目も合わせずやってくるはずです。
 
(慣れてくると尋ねても良い時間帯が読めてきます。私は全然違う時間帯ですが。)
 
「すいません、相談があるのですが、改造です」と向かうことを勧めます。
 
ノーリアクションを拾ってくれるようなところではないかもしれません。
 
「改造ですね。どうぞ」と。 座るよう促されます。
 
疲れ切った表情がパリッとして、さぁやるぞと表情一変。
 
手を組んで待ち構えてくれます。(腕ではありません)
 
その佇まいは碇ゲンドウの腕組みに等しい。
 
圧巻なさらないよう。
 
初めて行く場合は、メモとペンを持っていくことを勧めます。
 
ここで、改造内容の詳細を打ち明け、必要なものが何なのか、把握する必要があります。
 
例えば、WMTC3-2に該当する車両の原動機載せ替えの場合なら、検査機関での排気ガスレポートと、加速騒音試験が必要、などという形で。 
 
最終的に改造申請書類を受け取って返されますが、ウェブでゲットできるものです。
 
 
その次のステップとして。
 
まず、このような改造の場合に最低限必要な情報を記載します。
 
 
 
改造申請書類に必要な一覧

1:車検証の写し
2:四面図と車体番号・原動機番号の写真
3:改造の箇所の写真

大きくはこの3つ。
 
書類の体裁を整える為に、紐付けの書類を添付するのは求められます。
 
 
 
1:実測または車体を確認する箇所
 
車体のサイズ
長さ・幅・高さ・ホイールベース(軸距)
 
乗車定員(車検証と記載が異なる場合は注意)
 
前後タイヤサイズと対荷重値
 
 
2:車体の写真
 
車両の4方向(四面図)
フレーム番号
エンジン番号
 
車両の4方向(四面図)は、検査持ち込み時と同様の写真である必要がある。写真は計6枚
 
 
3:改造の箇所の写真
 
排気量が変わる場合は、総排気量の計算式も別紙記載が必須。
 

次、これが一番大事で。
 
 
4:保安基準適合検討書
 
  
記載そのものは簡潔でも大丈夫ですが、簡潔なら簡潔なりに、他の書類で紐付けし説明します。
 
 
 
それらを書類として用意、再度検査部を訪ねます。
 
 
書類の体裁が整っていれば、そこで受理されますが、不備があると訂正が求められ、後日。再度提出し確認されると不備が指摘され、訂正が求められ……のループで、不備があり続けるパターンの方が多いのが実態だそうです。 
 
改造に長けてない担当者に当たった場合、後手後手に、必要なものが追加されるパターンも、あるかもしれません。
 
そして、毎回毎回、同じものを申請しているのに、毎回毎回、違うことを言う担当者かもしれません。
 
相手も人間です。物忘れは付き物。
 
しかし、必要でもないものを必要と伝えてくるケースが確認されております。
 
例えば、エンジンの改造に関して。
 
ボアアップの場合はガスレポ、加速騒音は必要ではありません。
 
ところが必要と判断されていた支局もありました。
 
神奈川の方でした、最終的に必要ではない、となりました。
 
シリンダー交換すると性能が上がるので、ガスレポ、加速騒音が必要との見解もありました。
 
これは広島でした。
 
勉強していかないと、なんでも言われたまま動くと必要でもない事を求められている場合もあります。
 
その時はちゃんと戦いましょう。
 
 
 
 

これは私が作成したものの一例。協定規則R41 に該当する車両のボアアップに伴う改造申請書類の一式。
 
提出するときは結構な書類になり、エンジン載せ替えとかになるともっと増えます。
 
 
 
 
お問い合わせが多いのは…..
 
 
改造申請、分からなかったら教えてください。
 
改造申請書類ってピストンキットに付属するんですか…..
 
というような内容。
 
自力でやってみようという人は、改造申請書類はウェブで手に入ります。 (1)改造自動車の届出を行う場合 第1号様式+第2号様式、 第3号様式をダウンロード。
 
 
 
 
一般的な車検の内容であれば。審査事務規定の内容に沿って、全国的に一律である。
 
しかし、事、改造の審査に関しては、全国的に一律ではないという認識です。
 
車検に関する内容では、全国的に一律になってきた、改造に関しては、一律ではないな…..という事を肌で感じています。
 
そのため、出来上がった改造申請書類の状態でお渡しすることは行なっておりません。
 
改造に関して、携えた書類を軽快に説明するだけの状態であることも必要と感じており、窓口に出向く人のポテンシャルも必要。
 
そういう状況なので、私が検査員の資格を取りに行こうとした動機は、窓口の担当者(検査員)と同じ資格を身につけたかった事にあります。
 
 
 
 
 

その4 通知書というものの存在

 

担当者に受理され、検査部で決済が下りると、なんと。たった一枚の通知書で戻ってきます。
 
それが、右の書類の「改造自動車審査結果通知書」 略して通知書。
 
初回の「あれっ??」という肩透かしな衝撃は今でも覚えとります。笑
 
ところが。
 

この通知書は
 
とても強力な存在。

 
 
この通知書の状態はこの書面があればどこの運輸支局でも改造箇所に関しては通ってしまう書類です。
 
どういう状態かというと、独立行政法人の印鑑が押された状態で受け取ります。
 
改造申請書類をください、と承る事がありますが、前述の通り、スムースに通知書を頂けるものとは確約出来ません。
 
 
そこで、改造申請を確実にするものとして。
 
 
 
 

その5 通知書渡し

 
当社に改造申請をご依頼頂けましたら、改造申請書類を作成、広島の運輸支局の検査部に提出し、決済が降りた状態。で納品致します。
 
要約すると、改造申請の通販です。
 
独立行政法人の印鑑が押された「改造自動車審査結果通知書」(略して通知書渡し)での納品が可能。
 
 
通知書渡し、の状態であれば。この通知書があることで、他の地方検査部で改造について同じ認識でなかったとしても、検査を通す事ができる、強い味方となります。
 
改造箇所に対して、検査員が疑問に思った箇所があったとしても、独立行政法人の印鑑が押された書類がある以上は、そこで決済が降りた事実があるので、検査に持ち込んだ人に対して質問はありません。ポテンシャルは必要ではなくなります。
 
ショップ様であったり、エンドユーザーさんであっても、面倒な手続きをせず、いつもの車検のついでに、排気量の記載を変える事が可能となる通知書渡し。
 
「改造自動車審査結果通知書」を備えている状態で、車検のついでに検査員に「エンジンの排気量を変えました….」と伝えると、認証工場の有無も問われる事なく、なんのトラブルもなく、事が運びます。
 
それを備えておくことで、容易に改造申請が可能となる「通知書渡し」
 
 
ただし、この「通知書渡し」は条件があり、原則、当社製品のものに限る。
 
1:1000ccピストンキット
2:エボ 用 オーバーサイズピストンキット
3:ショベル 用 オーバーサイズピストンキット
 
この、3商品。
 
通販で購入頂くものに関しての、改造申請の通販のご案内、という事。 その他のものの改造申請書類ももちろん扱っておりますが、当社への持ち込みを原則必要とします。
 
 
 
 
改造申請って、面倒くさそう…
 
初めは思ってましたが
 
今では認識が改まっており
 
ボアアップの公認
 
オーバーホールの公認
 
面白い!
 
2019年の実績台数は10月現在、12台申請を通しました。
 
当社で行う公認は、ちょっと一味違う内容。
 
改造をしたからこそ、出来る事もある。
 
エンドユーザーさんにはメリットしかない。
 
 
 
これを機会に、公認、どうぞご検討ください。
 
 
 
 
 
Posted by M.Yasuura

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