インジェクションをやめてキャブにするハーレーのキャブ化記事 / 1996MY FLHRi

キャブ化の案件です
 
遠方より陸送業者様を利用しての運搬で弊社に到着しました。
 
 
最近のハーレーとは違うマニエッティマレリのインジェクションです
  
 
新車まもない2002年式のFLHRiで試走した際に「これは…いいかもしれない」
 
当時、キャブ漬けであまりインジェクションに詳しくない私でも体感でそう感じさせるものになったのはデルファイのインジェクションになってからでした。
 
それ以前のマニエッティマレリのインジェクションというものは、とてもそう感じさせない仕上がりだったのです。
 
 
もう20年近く前の出来事。私もまだ若かりし頃でした。いい背広を着た強面の社長さんがご来店頂いて「ディーラーでハーレー買うたんじゃが、わしのハーレーは調子がおかしい…」と。ご相談頂いて早々にキャブ化し、今もその車両を持っておられます。
 
 
別に腐す訳ではない、当時を知る者として、歴史としての出来事 
 
ちょっとコアな話をしますが、ハーレーはチューニングと密接という観点からみた独断と偏見です。
 

 
 
 
 
ツアラーに限っては2001年までのインジェクション車両と、それ以降、2002年以降のインジェクション車両とは全く異なります。
 
今から22年前、2001年頃は、ハーレーのインジェクションの車両は買ってはいけないものとされていた。トラックの無線に反応して暴走するとかも噂されましたが、実際にそうなってるものを見たことはありません。(構造上暴走はないと思うのですが…)
 
ソフテイルは2001年から、ダイナは2004年から、と「デルファイ製のインジェクション」車両が設定されていき、ついに2007年以降、スポーツスター含めた全車がインジェクションとなり、ケーヒン製CVキャブレターを備えたモデルが消滅。
  
チューニングに関してはメーカーオプションのレースチューナーを用いた純正書き換えを行うようになり、全車インジェクション化された2007年式ではツアラーユーザーがレースチューナーでのチューニングを多く占めました。(補足 : このレースチューナーを作ったのは今のTTS社。)
 

その後、2008年ごろだったかな。ツアラーがTBW化された頃にスーパーチューナー(純正書き換え)が登場するも、並行してフルコンと呼ばれるコンピューターごと載せ替えるものがシェアを伸ばす。
 
代表格フルコンではA製品または、B製品のインジェクションコントローラーでした。
 
A製品は、ワイドバンドO2センサーを用いて自動でチューニングを行うことを売りに使いやすさでシェアを伸ばしましたが、ワイドバンドO2主体の仕組みのためセンサー絡みのトラブルは避けらない。そしてA製品は頻繁に行われるファームウェアのアップデートを行うため、頻繁にショップに通うこともあったとか。
  
B製品のインジェクションコントローラーに関しては業界では主流の0v-5v制御だったものをなぜか不安定な12v制御にされていることで特有のトラブルが多発、販売元もバッテリー関係の商品を取り扱い販売を行うことに。あと全体的にtoo Richで「エンブレの時に特に生ガスの匂いがひどいからお前の後ろは走りたくないって言われた」という話をよく聞いたなぁ。
 
フルコンを使って不具合があった系のネット記事もちらほら出回り出し「なんだかんだ純正書き換えがいいじゃない」という動きがこの辺りから始まります。
 
 
 

2012年3月からラスベガス・レッドロックハーレーにお勤めのHIRO小磯さんの音頭でチューナーズネイション(Tuners Nation)が立ち上がります。もっぱら、純正書き換え推奨委員会のような組織。
 
私はこの一期生で ラズベガスまで行きました。
記事1 / http://www.45degree.net/Tuning/fuelinjection/report/03.html
記事2 / https://www.45degree.net/blog/?p=7716
記事3 / https://www.45degree.net/blog/?p=7757
  
そして、以降から賛同するショップ様も日本全国に増えていきインジェクションチューニングに加わるショップ様は純正書き換えで足並みが揃う。
 
インジェクション車両に関する不穏な話は徐々に聞かなくなり、車両相場においてもハーレーのインジェクション車が引き上げることになる。
 
それは「インジェションでもチューニングでどうにかなる」という流れから。
 
 
 
そこで一緒に引き上げちゃいけないものまで評価として上がってきたのがマニエッティマレリ時代(MM時代)のインジェクション車両でした。
 
MM時代のインジェクション車両も書き換えチューニング行為は可能ですが、定評のあるデルファイ製のものとは全く異なる制御。
 
アイドリングもチューニングで下げることができないのはそもそもアイドルエアコントローラー(IAC)というアイドリング専用のラインを持たない。仕組みも概念も同じインジェクション車であっても似て非なるものだったのです。
 
  
 
歴史に関わることはここまで。
 
 
 
MM時代のインジェクション車においてはキャブ化を推奨しています。

エボの車両や、ツインカムの車両のMM時代のものでもキャブ化することで解決可能です。
 
そして、年式的に排ガス規制前の車両なのでややこしい話もない。
 
そうなると何も無理に不安定なインジェクションシステムにこだわる必要もないのです。安定のキャブ化です。
  
 
 

キャブ化に伴いごっそり取り外す
 

元々インジェクションユーザーに配慮し手間がかかるものは用いない
具体的にはセミトラにはしないとか、ピンゲルのコックは用いないとかです
 

そして新品のCVキャブレターをチューニングし取り付ける これも手間がかからない優れもの
 
 

インジェクションからキャブ化した前後グラフ
 
安定感も増し、出力まで上がるのだからMM時代のものはキャブ化で決まりでしょう。
 
 
MM時代のキャブ化は以前にもご紹介しています
ハーレーのキャブ化に興味のあるユーザーさんもご覧ください キャブ化はなんでも出来ないお話も載せてます
https://www.45degree.net/blog/?p=28521
 
 
お問い合わせはこちらから
 
https://www.45degree.net
https://www.rignise.com/hiroshima.php

「インジェクションをやめてキャブにするハーレーのキャブ化記事 / 1996MY FLHRi」への4件のフィードバック

  1. anzai様
    この度は遠方よりご依頼いただきありがとうございました。改めてお礼申し上げます。初期のインジェクションは特殊扱いされがちなのもストレスだったと思われますので、色々な意味でストレスフリーになったかと。せっかくのハーレー、めちゃくちゃ楽しんで頂きたいです。

    (記事にはしていませんが)エンジンマウントも変えてパワートレインのアライメントも取り直したことで高速走行も安定していますが、くれぐれもご安全にお願いしますね。

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