「エンジンマネージメント」カテゴリーアーカイブ

FLTRXSE CVOのローダウンとインジェクションチューニング


近くで見ると結構凝ったペイントが施されている。
 
2012年式のFLTRXSE – CVOです。
おそらく2012年モデル内でも派手なカラーリングなのではないでしょうか??
 
 

リアショックを交換。このCVO用にオーダーメイドしたスペシャルショックを取り付けます。
 

そして、次はインジェクションチューニング。
 

スロットル全開の3000rpmも、スロットル全閉の4000rpmもすべて使う領域の細かな「荒」を取り除き、セッティングをびしばし進めていきます。そういえば、V&Hのヘッダーにサイレンサーのセットアップで、以前にもCVOで同様の仕様がありました。(こちら→https://www.45degree.net/blog/?p=5714
 
となると、すでにデーターがあるので、入れたらそれで済むじゃん!!!
 
な〜んて事は、しませんよ!
加えて、私の経験上、インジェクションチューニングをする上で二つとして同じデーターは存在しません。
 
と、クチで言うのは簡単なんだけどね〜(・_・;)
 
 

2012年式のFLTRXSE – CVOの、セッティングまで合わせた時との比較です。青いグラフは純正ヘッダー、赤いグラフはV&Hのヘッダーになり、更にセッティングを合わせた比較となる。その結果、88馬力と14.70キロのトルク。馬力は20馬力アップ、トルクは1.5kg-Mアップという結果。「心地よいライド感」と「ストレス無しの加速」の両面を併せ持つセッティングで仕上げました。
 

で、V&Hのヘッダーにサイレンサーの全く同一のセットアップで、CVO同士の比較。
データーはまるで違うけど、パワーカーブは全く同じ弧を描いてるわ。まっ、そりゃそうか(笑)

V-RODのインジェクションチューニング


2007年式のVRSCDX ナイトロッドスペシャルのインジェクションチューニングでお預かりしました。今回はパワービジョンを使ってのセッティングとなり、純正ECMをフラッシュチューニングする類でV-RODをセッティングするのは今回が初となる。
 
V-RODというのは、ポルシェが技術提供したなどという話も聞くが、実のところどこまでの技術提供なのかは把握してない。V-RODの乗り味がポルシェっぽいかと言われれば、そんな雰囲気は微塵も感じない。アメリカンスタイルをしたシャーシの股ぐらにレーシーなV型2気筒DOHCエンジンを搭載した「V-ROD」としか言いようがない。各機構などをみているとこれまでのハーレーとは異なるモノづくりを感じさせる。その者の精神は、作り出すものに宿るという言葉があるが、その観点で見ていくとアメリカンな造りとは違う精神を感じた。
 

各気筒別にされたスロットル上部には長さの異なるファンネルが設けられている。
 

この排気量には十分すぎるほどの大口径スロットルブレードを非線形スロットルでコントロールしている。非線形にするとアクセル開度に対するスロットル開度を二次曲線的にさせる事で、アクセル操作に対してのエンジントルクがリニアになる。考えるに大口径スロットルブレードを使う事に対しての配慮なのだろうと見受けた。しかし、アクセル開け始めでは線形スロットルの方がトルクが発生する事から、V-RODのエンジン特性を見ても高回転で高い馬力を発生させるこのエンジンではアクセル開け始めでは滑らかすぎてしまい排気量相当の強力な前進力を感じようとすると、相当頑張ってグィッとアクセルを開くことになる。これまでのハーレー的概念である大きいエンジンで太いトルクで流して走るような感覚を期待されると、落胆されてしまうかもしれないな、とも思った。
 

この度はエアエレメントをK&Nにてセッティングに挑みます。
 
 

パワービジョン内に用意されているデーターは年式と車種によっては存在しない事もあるので、こうなると色んなデーターが入っていると期待を膨らませてパワービジョンを購入した人は、奈落の底へ突き落とされる結果になるので、DynoJet既存のデーターを入れ替えて、自分で遊んでみたい人は要注意。
 
このVRSCDX用のデーターも存在しなかった事から、純正データーを抽出し車体からのECMデーターを計測器を使いロギングし検討しながら専用のプログラムを作りセッティングを行いました。
 
 

そして、馬力は99ps→106psへ。トルクは9.34kg-M → 9.75kg-Mへと、それぞれアップ。セッティング前は大きく燃調が狂っている所もありましたが、そこも問題なく解消されました。パワーチェックのグラフで見ても、そこまで大きく目立って変化は無かったが、3500rpmまでのトルクは最大で2kg-Mもアップした所もあり、乗った時にもその変化は十分に感じられまして、セッティングを合わせた結果が確りと出た。セルでエンジンを目覚めさせた時の様子も、以前より数段力強くなりました。
 

リ・セッティング (FLTRX)


こちら昨年の8月にパワービジョンでインジェクション・チューニングをご依頼頂きましたが、この度はマフラー変更に伴いセッティングを合せなおしました。
 
https://www.45degree.net/blog/?p=6136 ←以前の記事
 
 

マフラーをRineHart Racingに変えたのでリ・セッティングを・・・って、診断してみると、この結果。状況が変化したので、セッティングが狂ったのですが、よく言う見た目にヌケの良いマフラーにするとガスが薄くなるという巷の定説とは真逆の結果でした。ガソリン突っ込みすぎてスベったパターンですね(^^ゞ
 
 

弊社オリジナルのプログラムでセッティング後は、赤いグラフに変化しました。

濃いすぎる状態を継続されるとコンディションが崩れてしまいますが、幸いにも由々しき事態は回避できました。
 
セッティング前後で、馬力は72hp トルクは11.87kgへと変化しました。「約12馬力アップ」、トルクは「約2.1キロアップ」うーん、なかなか。これだけ差が開き、パワーが上がっても、メリハリをつけたセクシープログラムに仕上がれば楽しく走れる上にガソリン消費量も少なくて済むので、セッティング合わせていないといろんな所で勿体ないことをしている事になります。
 
このように、一度セッティング合わせてあげても、今回の様にマフラーを変えたことでセッティングを合わる必要が再度発生する事もありますが、そういった事にも対応していますので、どうぞお気軽にご相談ください。
 
  
□ 乗り味もプラス
今回の依頼内容をちょっと詳しく書きたいと思います。以前セッティングさせて頂いた際は、ごくごく普通に乗りやすく、パワーもトルクも楽しめる内容でお渡し致しましたが、この度はリ・セッティング時に乗り味にも手を加えたいなあという事で承りました。

ならば、と、RineHart Racingに変えてあるからこそ出来る内容にした。そして、電子スロットル特有の「足りないリニア感」を払拭させ、1〜4速ギアーではスぅ〜ッと気持ちよく車速に乗るよう加速させ、5速ギアー以降は流して走っている時からの加速にズカダカと地を蹴る不等間隔爆発Vツインエンジンの特性をより引き出し、その結果心地よい振動が以前よりもライダーの気持ちとシンクロした「心地よいライド感」に仕上がったと思います。
 
アクセレーション一つで鋭い加速も出来る一方、景色みながら、ゆる〜く回るエンジン回転数で、深いアクセレーション、ズカダカ・・・・ズカダカ・・・・ドコドコドココココ・・・・ こういうハーレーの楽しみ方もありますよね。この辺はパワーカーブではまったく見えない感性フィーリングなので、そこがちょっとザンネン(+o+)
 

FLTRiをセッティング(パワーコマンダー3)


FLTRのインジェクションチューニング。これからセッティングとなります!
 
 

元々は純正ヘッダーにスリップオンの仕様でセッティングしご納車していました。その後に2in1のRineHart Racingに交換されたとの事ですが、交換直後から、エンジンのかかり具合含め、どうも調子が優れないようです。
 

引き続きPowerCommander3を使い各気筒別マップで、独自のマップを作成しています。
 

まずは診断をしてどれどれ・・・・と診てみると、まあ!ものの見っ事に狂っています。以前のセッティングデーターと照らし合わせるとどのように変わったのかが見れて面白い。社内の研究データーですのでblogには掲載出来ないのでご容赦下さい。
 
さて、低開度付近で日常的に使用する回転域と、エンジン出力でピークトルクが出る回転域付近の落ち込みが著しく、調子が崩れても仕方がない様子なのが見て取れました。このように、2in1ヘッダーの性能を生かすには、調子を整えるにも、それに合わせた独特のセッティングが必要になります。

インジェクション883を「セッティング」

あっ。先に、お知らせ。
 
先の記事のMAHLEピストンですが、
もしかしたら入手困難になるかもしれません。
 
今の所在庫はありますので、お早めにどうぞ〜!
 
 

エンジンの後は、一番の肝心要。
良い走りにするもしないも、ポテンシャルを引き出すも、出せないも、これ次第。
 
仕上げにインジェクションチューニングに取り掛かり、セッティングを合わせていきます。弊社ではエンジンチューニング後に、引き続きインジェクションの設定変更も行う一貫した体制です。
 
エンジンチューンをするとコンピューターには手を加えばければなりません。元の883の設定のままではエンジン始動もままならない、当たり前ですが何もしなかったらアイドリングもしない状態ですから・・・・。この度はスポーツスター883で、「純正コンピューター」使ってフラッシュチューニングし、セッティングしていきます。純正コンピューターではどこまで出来るか?こんなニュアンスも半分持ち合わせていますが、そこは全く問題ナッスィング。排気量が違えば、単純にマフラー交換してセッティングする場合とは世界が違い、とっても遣り甲斐がありますけどね。 まっ、やっていってみましょう。
 
 

リアルタイムモニターで見ている図を切り抜きました。
ザクッと作ったマッピングでは想像なので、当然正確には見れていません。・・・・ガタガタと狂いもあります・・・・
 
 

これも問題なくピシッと整いました。これは基本中の基本。
 
 

そして気になる馬力とトルクですが、59馬力・9.4キロgという結果。今付いている北米STDでなら上出来なパワーカーブでしょう。丁度3000回転付近がピークトルクが出ていますから高速走行100kmほどで二人乗りしている時にかなりの恩恵があります。
 

エンジン仕様のみ異なり、エアクリーナー・マフラーなどがほぼ同一条件の883データーをオーバーラップさせました。この883もインジェクションチューニング済みなのでかなり正確に比較出来ます。全く純正の883持ってきたら差がありすぎますからね(笑)それぞれレブリミットが違いますがあまり気にしないてください。
 
で、馬力は12馬力、トルクに関してはおよそ3キロgも差が開いています。
883のボアーアップは手っ取り早く力強さを得る為の必須チューンですね!
 
排気音もスポーツスターらしからぬ、逞しく、弾けるような力強いサウンドです。
 
とりあえずチューニングが出来ました。セッティングの方向性をお客様と事前に打ち合わせし、そこでイメージ出来たのは、流して走っている時はトコトコと、少しアクセルを開けると鼓動感を伴いながら車速に乗り、グイッとアクセルを開けると意図した通りの鋭い吹け上がりが出来るものと・・・・。言い換えれば純正の乗り味を底上げしてプラスアルファしたとイメージかな、と。という事で、乗り味とフィーリングを大切にしたセッティングを施しましたが、これとは別に、アクセルを開くと、反応が俊敏で鋭い加速が楽しめるセッティングに振る事も出来ますよ。
 
人によって求める走り味は全然違いますからねー。
そんな調整が、キャブでも、インジェクションでも、出来るんです。楽しい世界です!