HARLEY DAVIDSON PRO SHOP
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取り付けるCVはFull Tune CVの純正派。
そしてCV持って写っているおじさんは45の初代オーナー。先日某有名サイトにてまともに”顔バレ”しちゃってますが、これで二度目です。笑ショベルにCVを組もうとした思惑
オーナーさんから依頼を受けての組み込みですが、依頼内容は↓
・速さよりもフィーリング重視で
・ショベルならではの完璧な三拍子は永遠のテーマ
という内容でした。実際にどのようになったのかは、のちほど。
作業開始
元はS&SのスーパーE サンダージェット付き。サクサクとバラします。(説明省略) マニだけの状態にしますが、インテークのラバーガスケット、通称”イカリング”は交換しましょう。ここのガスケットは定期的に交換する必要があります。そして、シリコングリースをイカリングに薄く塗布し、細いマイナスドライバーを使い、たこ焼きを回す様にするのがうまく組み付けるコツです。 シリコングリースがないからといって、オイル又はDOT5のブレーキフルードを代用してはなりません。 今回使用するのは、ショベル用のCVマウントキット。元々CVが付かないショベルに、確実に固定できるというメリットがある。キット内のキャブレターサポートブラケットは、サンダージェット対応のショベル用ロングステータイプに変更した。ムラムラきた時の楽しみを残してある。 そしてマニにCVアダプターを組み付ける。 (マニとCVアダプタとの間に入るガスケットには液体ガスケットメイクを適量塗布することをお勧めします。)スロットルケーブルの加工
S&SのEキャブなどはケイヒンバタフライと同じケーブルでいけますが、CVには長さが足りません。 そして、この当時のスロットルホルダーのネジサイズでは、~95年までのCV用の戻し側のケーブルを使うことになってしまい、ケーブルに入っているスプリングを取り除かなければなりません。 そこで、純正のケーブルならではの加工を施してしまいます。 まず、長さの測定。ケーブルのアジャスターは戻し、ケーブルの出量が110mm位になるようにします。ショベルの純正ケーブルが大体90mmだったので、20mmほど足りません。 まずは黒い被服をカッターで足りない長さ分、切ります。 次に、伸ばしたい長さを把握した上で、大き目のニッパーでケーブル外部のコイル状になっている金属部分の割れ目に対して”甘噛み”します。すると、隙間が出来ます。 そして、外部のコイル状の金属部分のみを破壊力のあるニッパーでパチィン!とカットします。(カットしたケーブル側の切り口はヤスリ等で丸める。そのままではキャブのスロットルホルダーには入らない) 内部のケーブルまで切らないように注意。 その後、切り離した側を更に甘噛みして感覚を広げ、地道に切断していきます。その後、ケーブル内に残った透明のプラスチックスリーブをカッターで切り、取り除きます。 最後に長さの確認と、実際に組みつけてみてケーブルが十分に足りる長さかどうか確認します。若干長い場合は、アジャスターを張ってみて、スロットルに適量の遊びが取れる範囲であればOKです。ステー類組み付け
次にキャブレターを支えるロッカーカバーからのステーを組み付けていきます。(仮締め) さて、ここで待望(?)のエラー発生。 リアシリンダーのロッカーカバーへステーを取り付けようとしたところ、なんとネジが折れ込んでいる。先客がいらっしゃったようだ(汗)うそだろぉ~・・・ まず先にこのままの状態で外れるか、折れ込んだボルトをセンタポンチで叩き確認してみたが、一向に外れる気配がない(^^;;;;) そりゃそうか。うーん。仕方ない。エンジンをバラかして、ボルト救出作戦となった。 また、サクサクとバラしています(苦笑) しっかし、ショベルのシリンダーヘッドとロッカーアーム部分の構造って、見るたびに思うが「奇跡の構造」ですね。ロッカーボックスの組み位置が変われば、ロッカーアームがバルブを押す位置まで変わっちゃうなんてあり得ない。そういえば、S&Sから対策部品が出てますね。 外した後に折れたボルトに対してセンター付近にエンドミルで穴を開け、専用工具で救出。簡単そうにサラリと言ってますが、エンドミルが折れ込んだら、更に大変です。その後の専用工具で回す瞬間の緊張感も毎回冷や汗モノ。まぁ無事に取り出せたので、良しとしましょう。 エンジンを組み、無事にステーが止まったところで、ようやく本題に戻ってきました。ロッカーカバーにステーを少し動く程度に仮締めします。その後、インテークマニホールドシールにシリコングリースを薄く均一に塗布し、CVキャブレターをCVアダプタへ差し込みます。 とにかく、キャブレターサポートブラケットとロッカーカバーについているステーを組み付ければ、それが基準となり来なければならない位置が把握できます。 その後にマニを動かしたりして微調節を繰り返していきます。キャブレターが斜めについていたりすると、ガスケットが早い段階で痛んだり、そこから二次エアを吸う確立が高くなるので、時間を惜しまず、自然に付く位置をじっくり探りましょう。 マニとロッカーカバーに付くステーの位置が決まれば本締めをします。本締めさえしてしまえば、マニとロッカーカバーのステーを取り外さない限り、簡単に位置が狂ったりはしません。
キャブレターとエアクリーナー側の接続ボルトは緩み度めのケミカルを使用します。ボルトが緩み、エンジン内に入ってもらっては困ります。ロックタイトなら中強度程度で十分です。 ここまで出来ると、あとはエレメントとエアクリーナーカバーをつけて組み付け完了です。
セットアップ
ショベルにつける事で、キャブレターのジェットの再設定が必要です。しかし、その変更したジェットで本当にセッティング合っているかどうかは走ってみなければ分かりません。 これは、ツインカムやエボでも、Full Tune CVを組み付ける場合であっても、セッティングが合っているかの確認は必須です。セッティングがバッチリに合っていなくてもとりあえず走れますが、それでは楽しくはありませんからね。 黄色い○がしてある所がフロートボウルのボルト。この4本を緩め、フロートボウルを外せばジェットの交換ができます。 これがメインジェット。 この穴の奥にスロージェット。専用工具で外します。 CVのフロートを外して、ポロッと落としてしまったり、組み忘れがちなのが加速ポンプのLロッド。忘れないように組み込んでください。 プラグ交換 セッティングの良否を判断する情報源にもなるスパークプラグは必ず新品に交換しましょう。もしも、カブったままのプラグを使ってしまうと、走りも悪く、セッティングの良否の判断材料にもなりません。プラグの隙間調節(ギャップ調節)も、忘れないように適正な隙間にあわせてください。プラグのギャップ値は、イグニッションの種類・プラグコードの種類によってはサービスマニュアル通りではありません。 もう1つ、ごく当たり前なのに悲しくなるほど多いのが、プラグの締め付け不良。手で締めて、硬くなった所で締め付けを終ってしまっている人もいますが、それでは圧縮が抜けてしまいます。工具を使用し、そのプラグに指定されている締め付けトルク、もしくは指定された締め付け角度できちんと締め付けます。さて、ショベルにCVを装着できましたが、オーナーさんが求めている走りにはなったのでしょうか?
・ 速さよりもフィーリング重視で
この点は、速さよりフィーリング重視というよりは、速くもなって(嫌味な速さではない)、フィーリングも向上していました。
手に伝わってくる振動も少し和らいでいます。
低回転での走りやすさが増し、ラフなスロットルワークでも、それに対してパワー感やトルクが付いてきます。まるで、ちょいとカムを交換してパワーアップしたエボのようなパワー感になってしまいました。パワー感やトルク感に不満は全く感じられません。これならどこまでも不安感なく走れるぞっ!と、心のゆとりも持たせてくれます。
前例で、ショベルでCVに変えただけで、割と低回転なのに、感覚的に”普通”に加速したハズなのにクラッチがズルズルに滑ってしまったのもありますから、クラッチが純正の場合はクラッチの適正化も視野に入れて行ったほうが良いのかもかもしれません。
・ ショベルならではの完璧な三拍子は永遠のテーマ
この点は、CVにするだけで極低回転までアイドリングを下げることが出来ます。アイドリングも、テッテケ テッテケとリズミカルに刻んでいます。しかし、アイドリングを下げる行為自体、良いことではありません。三拍子を聴きたい時だけ、下げるほうが、エンジンにも優しいでしょう。
ショベルにCVキャブレターをつけるのは、かなり良いこと尽くしです。 一般的に、キックで一発始動でき、直ぐにアイドリングが安定するだけでも交換する値打ちがあります。 CVキャブレターは、負圧キャブであるが故に、そのエンジンの本来の姿を楽しむことが出来ます。正直、ショベルってこんなに面白かったかな?と感じていますよ。ほんと、ここまで面白いくらい変わってしまいます。 求めているフィーリングがこれなら、迷わずCVをつけちゃいましょう。