パワービジョンとは??

パワービジョンで行う、燃料調整(インジェクションチューニング)は、純正コンピューターを用いて、燃料調整を行う事を指します。一言で言えば「書き換え」です。
 
「純正ロムチューン」という言葉で、車の業界ではかなり用いられていますが、ネットで「純正ロムチューン」と検索すると、コンピューターの基盤上にある物を抜き変えている様子が多数出てくるはずです。
 
しかし、パワービジョンで行う場合、純正コンピューターの書き換えタイプ「フラッシュタイプ」と呼ばれ、物理的になにか変更するのではなく、コンピューター内部のデーターのみを変更し、パーツの変更などが生じません。
 
ハーレーの市場で、その代表格となるのが
「スクリーミンイーグル PROスーパーチューナー」です。
 

 
このオレンジ色のVCIと呼ばれるもので、パソコンと、純正コンピューターとを接続し、内部の書き換えを行います。
 

パワービジョンとはなにか??と言いますと、機能的には、「PROスーパーチューナーの優れた機能そのまま」です。VEなどの値や、回転数の数値変更、車種年式によって違う制御方式とったところまで、スーパーチューナーそのままです。
 
機能面では、スーパーチューナーも、パワービジョンも、双方そこまで大差はありません。データーについて、パワービジョンの既存データーは、豊富に揃っていますが、使えるものか、どうかについては、検証の結果、やや厳しいものがあります。既存データーはスーパーチューナーの方が、さすがにメーカー製とあり出来は良いです。しかし、弊社にて取り付ける場合は、この違いを理解しており、セッティング済みでお渡ししていますので、スーパーチューナーなのか、パワービジョンなのか、「書き換えるソフトの違い」なだけで、書き換える対象が「純正コンピューター」である以上、どちらを選んでも全く違いがありません。
 
また、スーパーチューナーの場合も、パワービジョンの場合も、一度車両に認識させてしまうと、他のバイクに使うことはできません。
 
 
 
パワービジョンと、スーパーチューナーの違う所とは?
 
 
1つ : 純正のデーターが残せるか、残せないか
スーパーチューナーの場合、すべてデーターの上書きとなり、元々入っていた純正データーが消えてしまいます。
 
ところが、パワービジョンの場合、初めに認識させる際、純正のデーターを、パワービジョンのタッチパネル(スーパーチューナーでいうところのVCI)に保存します。そして、新たなデーターを送りますので、純正のデーターが消えることがありません。ユーザー単位で自分のデーター管理が行え、必要があるときに、純正のデーターに戻せますので、その度にショップに出向く必要は無くなります。
 
ただし、パワービジョン本体がなんらかの理由で破損もしくは起動できない状況になると純正データーまで損なう恐れがあり、ナビのように「常時の車体への設置」は危なくてお勧めできません。必要がある時のみ、接続してデーター通信をすれば、接続していなくても動くもので、パワービジョン本体は取り外して保管する事ができます。
 
 
2つ : 簡単な設定はパソコン要らず
「別マップへ変更したい」場合など、スーパーチューナーはパソコンを用いて通信しますが、パワービジョンはパソコン要らずで、マップの入れ替え作業を行います。「レブリミット設定」や、「全体の、回転数変更」など、簡単な設定を、タッチパネル上で変更できます。セッティングに関わる大切な数値はタッチパネル上では触ることは出来ません。
 
 
最後に : セッティングサポートツールの存在(スマートチューン)
スーパーチューナーでは、スマートチューンと呼ばれ、パワービジョン内でも呼び名こそ違いますが同等の「機能」が備わり、セッティングをサポートするような形になっています。この機能はO2センサーからの情報を元に、コンピューター内に予め設定されている空燃比に対して、どのくらい補正すればよいのかを、空気量(VE)の値で補正する機能。
 
セッティングのマップ上では、スロットルポジションもしくは、MAPセンサー値×回転数というマップになっており、縦×横の2次元のマップです。通常走行している場合、この2次元マップに対して、エンジン回転数上昇と共に、スロットルを変化させ続けていますので、縦方向、横方向のみに読み込む事は珍しく、通常、斜めに読み込んでいきます。つまり空気量が断続的に変化している状況。
 
この機能を極力正確に働かせる場合、狙った領域において緩やかにその補正値を読み取れば、ようやく、まあまあ、まとまった数値が得られます。しかし、応答速度の遅い純正のO2センサーを無理に使っている機能であり、エンジン温度やセンサーがヒートしていない状況であることなども条件に加わり、それが正確であるかは条件によってまちまち。

また、この走り方を公道で行おうとすると、どうしても無理があります。
 
スロットル開度やMAPセンサー値を確認しながら走ろうとする場合、スーパーチューナーではパソコンを片手に見ながら走ることになりますが、パワービジョンの場合、タッチパネル内にてスロットル開度、エンジン温度、回転数、目標空燃比などを表示できますので、パソコンこそ要りませんが、注視して走る事から前方不注意による事故を誘発しかねません。変化が激しいMAPセンサー値は特にでしょう。どちらにしても公道上でまともに使えるような機能ではなく、あまり設備の整っていないシャーシダイナモ上での使用にとどめておくのが無難です。
 
このように、基本形はスーパーチューナーで、少し積極的に弄って遊びたい人にはパワービジョンがお勧めです。
 
価格は、スーパーチューナーがやや低めで、パワービジョンはスーパーチューナーよりはやや高めです。一度セッティングが決まってしまえば、あとはとくに触ることもなく、自分で純正に戻す事が無ければ、スーパーチューナーでも十分事足ります。
 
価格については弊社が定める、本体、セッティング、セットアップ費込みでの場合です。
 
このインジェクションの色々については、まだまだお伝えしたい事がありますので、改めてお伝えします。