マフラーの音ではなく エンジンからの音


こちらのロードキングさんですが、以前取り付けていたS&S製のSPO(80dBになる前の)から、同じくS&S製のビレッドエンドタイプに変更となり、キャブレターのセッティング中です。ここまで形状の違うマフラーともなると、セッティングが大きく変わります。
 

 

S&SのSPOは、オーバル形状で懐の大きいマフラーですが、こちらのS&Sビレッドエンドタイプはやや細身で懐はSPOほどは大きくありません。SPOは、いわゆるハーレーらしい音とは違い、往年のアメ車の排気音に近い印象で、歯切れを求めての交換でした。今回交換したビレッドエンドタイプも、いわゆるハーレーらしい音ではありません。柔らかな音でもありつつ、音質は低めで、スロットルONと同時にパッパッパッパと歯切れながら前進する感触が楽しめます。
 
よくマフラーの音質で例えるのが管楽器。管楽器で音質の低さと太さを例えると、SPOはテューバでしょう。ビレッドエンドタイプは・・・そうですね〜・・・・低さの中に柔らかさもありますのでユーフォニウムとでも言いましょうか。ラインハートなどは、トロンボーンがまさにぴったりではないでしょうか。
 
マフラーも同じようなもので、マフラーに膨らみがなく、細身で短いマフラーは音が高い傾向にあり、マフラーに膨らみがあり、太く長いマフラーは音が低い傾向にあるのです。要するに音が膨らんで、ブォワッとなる部屋が低音の秘訣です。そして、マフラー全体の長さも大切です。でも、音の低さばかり重視すると歯切れは損なわれてしまう。これは悩むところ。
 
管楽器に音が膨らむ所はありませんし、そもそも楽器は積極的に音を出したいものですがマフラーは排気された爆発エネルギーを減圧させたい所ですから楽器とは真逆の性質。管の長さと太さで、似ているところがあるように思うのです。管が短いものは音が高く、管が長いものは音が低い。トロンボーンは2つの長いU字型の管を繋ぎ合わせた 形状を持ち、通常、その一部(スライド)を伸縮させて音程の高低を生み出す楽器の構造上とても解りやすく変わります。
 
 

 

 
 
管楽器は吹き方を変えればBassのテューバでも高い音も出せますから、例えに出すのは強引な所もありますので一概には言えませんが、演奏者と、楽器という関係は、エンジンとマフラーの関係とよく似ている点で成り立つかと思われます。
  
元々低音スペックであっても、奏者が良い空気を送ってくれないと、思うような音にはならないのです。低音担当のテューバであっても、頼りなげな音になってしまう。楽器は同一なのに、音がバラバラなのは奏者の空気の送り方の違いによるものです。
 
エンジンとマフラーの関係に当てはめてみますと、マフラーが楽器で、エンジンが奏者に当てはまります。つまり、マフラーの音ではなく、エンジンからの音なのです。マフラーは同じであっても、排気量の違いであったり、カムシャフトの違い。もちろんヘッダーパイプなども重要なファクターですが、楽器で空気の送り方の違いに相当する所で、音はまるで全く違うものとなります。
 

 
 
近年では、取り付けできるマフラーは幅広い年式に取り付けできるようになっていますが、その幅の広さの中には約500ccもの排気量差を含みます。排気量が違うと、全く違う音になります。どんな音がするのだろうかと、Youtubeで検索された人も多いかと思いますが、お悩みの人は必ず同じ排気量で、同じスペックであるもので比較して下さい。できれば実際に聞いてみられると良いでしょう。あまりの音の違いに驚くはずです。
 
先ほどマフラーの音ではなく、エンジンからの音と述べたように、エンジンから発せられたエネルギーですから、良い点火タイミングで、良い混合気による「良質な爆発」が得られていれば、音質や音量は変化してくるとお考え下さい。つまりは、キャブレター・インジェクション車であっても、「調整」をすると、より良い音に変化するという事です。
 
私が現場で耳にしている音は、セッティング前には角角しい高音が目立つ音であっても、だんだん、だんだんと、セッティングを合わせていくうちに、音の角が取れ、まろやかで深みのある音質へ変化していきます。インジェクションのチューニング時などは特に判りやすく変化していきます。
 
つまりはS&SのSPOでも、ある程度の大きい排気量で、元気でパワフルなエンジンであれば低音でありつつも、歯切れの良さが楽しめる、誰もが羨むような音になることもありますよ(^v^)
 
低音で歯切れの良い音を求めるには
1:元気の良いエンジン
2:良いセッティング(燃料・点火時期共に)
3:そのエンジンサイズに適したマフラーを取り付ける
 
このように、マフラーが出している音ではなく
エンジンから発せられている、「エネルギー」である・・・・。
 
と考えると、より深い段階で音選びが楽しめるかと思います。ご参考までに。
 
 
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