ショベルさんご入庫です。
白煙がポッポ・ポッポ出てオイル消費が激しいとの現状報告。フォークからもオイル漏れをしているとのこと。はじめに試運転から〜と乗るも、アッチコッチ騒がしく、判断が難しい(苦笑)
まずはフォークから診る。オイル漏れていましたがフォークシールではなく、トップからでした。
分解の度に交換するここのシールからの漏れですが、ステムネックベアリングの締め付けが甘く物凄いガタが出ていたのも漏れの原因かも。それこそ走行中にガコンガコン音がする程度に。ここも調整を行いました。締め付けはコロコロ変わるもんではないので、もともと緩かった上に、ステムネックベアリングにやや打痕が出来たせいで更にガタガタになった…その辺りが原因でしょうか。ちょっと気になる程度に自動強制直進装置気味です。
フロントシリンダー側は大丈夫。問題ないのでこのまま再使用しますがピストンリングはモチのロン、交換ですけどね。
リア側の新しいピストンにはWPC/Moriのダブル処理。
設計段階からいうと60年近くも昔の物。普段が最新のエンジンばかり触れているからこそ見えてくるショベルがショベルな箇所。ボルト1つとってみても、エンジニア視点として具体的に手を施したい。
バルブとガイドのクリアランスを計測すると、Ooopp!!な数値。そして、久しぶりにこの時代のサービスマニュアルを斜め読みしオドロキの数値が並んでいるじゃあないの….(^^;;;;;) 凄い事書いてあるものだからオイラ驚いただ。
分解時の事。一見、ステムシールに損傷は無さげに見えた。測定装置を用いて調べると実際にはバルブとガイドの隙間が大きすぎ、動作を繰り返すにつれ、その隙間の大きさが起因しステムシールをじわじわと広げてしまい、オイルが侵入する隙間を作りオイル下がりに繋がっていた。Vitonのステムシールはガタに対しての追従性は良いが長期的に見てガイドから抜けてしまう事へのリスクがある。7mmステム径以降の一体構造になっていれば安心ですね。
前後シリンダーヘッド・全てのバルブガイド打ち替えに伴い、ステムシールをインストールする部位の旋盤加工・バルブの研磨・シート面研磨とシートカット。バルブとバルブガイドの隙間を現代の考えに基づき再設定。
この度はキャブレターをCVキャブに換えます。キャブレターも当社在庫品。
CVキャブ取り付け完了!
そして、エンジン始動。(ムービーです)
その後、適当にキャブ調整も挟みながら、慣らし運転。
エンジン組み立て初期はピストンリングが馴染んでおらずそこを伝って冷却するピストンに熱がたまりやすいので細心の注意が必要となる。ヒートサイクルの慣らしを行う上でピストンに熱を溜めない事が重要となり、エンジン温度を管理しながら行う。ダイノルームで用いているシロッコファンが活躍します。
そして、適当にオイル交換していく。
これが持ち込み時。オイル消費していたので、出てきた量も少なかった。汚れ方も相当です。
エンジン組み立て一発目のオイル交換時。使うは慣らしスペシャルオイル。(ボアアップ時やオーバーホール時におすすめの隠れオプション設定項目)
ヒートサイクルの慣らしを進め、適当にオイルを変え、これで5回目の時の様子はもう出てきた色が綺麗ですね。順調です。慣らし運転を挟みながら、オイルはトータル7回交換した事になる。慣らし用スペシャルオイル22,380円 / その後のエンジン潤滑油 6,990円 / トータル29,370円
ダイノルームにてキャブレター調整。
A/Fを取りながら診るも、このエンジン。想定していたより、ガソリンをめちゃくちゃ欲しがっている。ツーリングのオプション設定ニードルに変えるもまだ足りない。
ダイノグラフはこの通り。現状はツーリング加工ですが、高回転域はガソリン足りていない。。。高速道路等、バリバリ走るならサンダージェット仕様で吸入負圧高め領域のみ追加ガソリンをぶち込んでやりたいですね。パワー感も十分で走っているには不満は感じられないんですがね〜。
公道に出て試運転する。
先日導入したGoPro Session5を使って撮影しました。
ショベルが気になる貴方、これでちょっと乗った気分になってください。
公道試運転110kmを走り終えた後のプラグの色はこの通り。これで納車出来ます。お待たせしました。
バリバリ走っちゃって下さい。
Posted by M.Yasuura