“Thunder Slide” vs “Full-Tune CV Touring”

 

03以前のXL1200Sの、キャブチューニングです。

 

今回は動画も交えてキャブレターに興味を持っている人にお楽しみ頂ければ幸いです。

 

 

まずは「現状」でのシャーシダイナモ計測から・・・。

 

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内容はサンダースライド入りCVキャブレターです。エアクリーナー/イグニッションはSTD。

キャブレターのセッティングが不十分で、エアクリーナーも・・・。スパークプラグギャップは0.6mm・・・・。その辺りを調整したほうがもっと良いデーターがでますが、一般的によく見かける状態のまま、あえてこのまま計測した次第です。

 

その後、Full – Tune CVの Touringへキャブレターを加工し・・・

 

 

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内容はFull – Tune CVのTouring(ツーリング)です。エアクリーナーはリプレイスメントのK&N。イグニッションはSTD。

 

計測結果は・・・・

ビフォー / 55.65馬力の10.20kg
アフター / 66.89馬力の10.73kg

それぞれのピークで11.24馬力/0.53kgトルクの差が出ました。

 

 

しかし、ピークの馬力は実際あまり使う領域ではなく、もっとも注目していただきたのは。2,000回転〜3,000回転での常用域でのトルク値。3kg以上もの差が出ています。3kgとは、「883か、1200か」 or 「TC88かTC95か」 ・・・エンジンをボアアップした並の差が出ています。

 

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これは、取り付けられているマフラーの特徴と、サンダースライド特有の動作が絡んでいますが解説しているとマニアックなブログ記事になりますので割愛します・・・。興味のある人はお酒の席でアツく語り合いましょう・・・。

 

しかし、実際に走ってみるとサンダースライドの方が体感的に速く感じてしまいます。それはいったん落ち込んだトルクが、急激に増すため、そう感じてしまうものだと考えられます。もともと、トルクに厚みがあると急激な変化がないぶん、速さは感じにくいですがスピードは出ており、終速度160kmで両者のタイムは約1秒近く差がついています。

 

 

☆ ここで重要なポイント!

 

□ マフラーの影響が大きい

 

グラフを見ての通り、常用域がとてもトルクフルで乗り易い1200Sになりましたが、グラフが下に下がっているのはマフラーの影響が多分にあり、それは他のXL1200Rで同様のマフラーが取り付けられた車両でも同様のデーターが出ています。以下のグラフをご覧ください。

 

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赤グラフが先ほどのXL1200S、青グラフは04年式のXL1200Rですがギアレシオの違いがあるため、回転軸ではなく、あえて時間軸(X)です。両者グラフ同じように馬力がでて、同じところでトルクの落ち込みがある事から、ツインプラグorシングルプラグの違い、燃焼室の違い、点火マップの違い、があっても、マフラーの影響は同様にあるという事がお分かりいただけると思います。

 

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赤グラフは引き続きXL1200Sのグラフですが、緑のグラフは前回の記事で弄りすぎて反省しているXL883Rです。(実はなんちゃって883なのですが・・)

 

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エンジン性能で見ればXL1200Sが上、しかし、マフラーの違いで、低回転域から頼もしく、アクセル開け始めから、気持ちよくスルスルっと前に進み、ダッシュが効いて、とても楽しい感じなのは、緑グラフの方。以上のことから、マフラー性能はダイナモ上でのグラフだけでは一概に判断できません。エンジンの性能が良くてもマフラーの関係でパワーにはこれほど違いがあります。

 

なんでもそうですが、使用用途にピッタリなものが、もっとも性能が良いです。公道でレーシングマフラーを使っても、全くお話にならない。なんて事は多々あります。そう考えるとマフラーって難しいですね〜。まあ、お悩みの方は車両持込の上、ご相談くださいまし。ただし音を煩くするほうのご相談には沿えません。

 

注意:マフラーのお話は、ハーレーにおいての、性能面のみの解説に留めています。

 

 

 

サンダースライドと、Full – Tune CV Touringの実際の動きを、シャーシダイナモ上で撮影しました。キャブレターに興味のある人には普段見ることが難しいところなので、お楽しみいただけるかと思います。

 

また、Full – Tune CVのウェブページ内で明記している

「あずりつつ、ズドドドドド・・・ ドコドコドコドコ・・・ と回転があがり、そしてアクセルを戻して減速。そしてまたアクセルを捻ってズドドドドド・・・ ドコドコドコドコ・・・。」

「エンジンから負圧が生じる度に、細かくスライダーが反応して動くのです。」

を、イメージしながらごらんください!