大粒の雨が降りしきる中、トラックに積まれ運ばれてきた当該車両。
受付からあまり詳細を聞いてなかった私、ダイノマシンを操った直後でダイノルーム入り口。フレッシュエアに包まれ、ぼんやりしている所でのご来店。
エンジンから異音がするとの事で聞いてほしい…と。では早速お願いします…..と始動して頂くと、これまで聞いたことが無いほどの激しい異音。
エンジンの中で、金属を引っ掻き、部品が外れて暴れまわっている音と表現しましょうか。
この時点で。このいずれか。
クランクが逝っていて、ピストンもかなり激しいダメージがある。
もしかするとコンペンセーターが、とんでもなく痛んで、緩んで、擦れて回っているかもしれない
この2点が同時で起こっていると見受けました。(その位の激しい異音だったのです)
音から想像した、エンジン内部の想定ダメージから、悪い方で想像して、大体のざっくりとした概算をお伝えすると、げげげっと。そりゃそうですよ。エンジンは開けないと御見積は難しいので、まずは開けます。
はい、出てきました。
ピストンのダメージは想定内。硬いベアリングのスラッジが悪さしましたね………
シリンダーもシマシマのタイガースでございます。ここまでのダメージは、クランクが逝っていないと、なりません。
あらら、アウトアウト。
勢いよく開ける前に、クランクのRunout値をチェック….。 規定値を軽くオーバー。アウトです。エボは標準ギアドライブなので、Runout値は標準で厳しい。これはギア鳴り音でおおよそ判断出来る事ですが。
いよっしゃー 取れたどー
出てきました。この度の問題箇所。
コンロッドのベアリングレース・クランクピン・そしてコンロッドベアリング それぞれ使用不可に。
コンロッドを外すのも、バールで、よいこらしょ!としなきゃ取れないほど、はめ合いが硬い。
本来は、クランクピン・ベアリングに適切にクリアランスがあるものなので、抵抗なくスルリと取れるが、違う。
まるで、圧入されているものかと思うほど隙間がない。
高年式エボで、結構多く見かける現象です。Runout値が大きく、腰上を開けてコンロッドを手に持ち回し、一部でクッと固まってしまう状況である場合、クランクに異常があるものだと判断します。96年か97年以降のエボで多く見かける症状。
やり直せば、問題はない事です。即ち、腰下の、がっつり・オーバーホールです。
クランクをやり直し、組み立て。 フライホイールのクランクピン締め付け時に用いるToolを用いて締めるも、これで0.1~0.2mmの振れ幅まで絞れる。あとは芯出しでRunout値を追い込む。
クランクはこれで完成。
痛んでいた純正ピストンはマーレピストンに。
深く刻んだスクラッチ
89.5mmのオーバーサイズでリカバーできるか….。
続く。
Posted by M.Yasuura