エボのクランク 修理案件 / 1999y FLSTC


大粒の雨が降りしきる中、トラックに積まれ運ばれてきた当該車両。
 
受付からあまり詳細を聞いてなかった私、ダイノマシンを操った直後でダイノルーム入り口。フレッシュエアに包まれ、ぼんやりしている所でのご来店。
 
エンジンから異音がするとの事で聞いてほしい…と。では早速お願いします…..と始動して頂くと、これまで聞いたことが無いほどの激しい異音。
 
エンジンの中で、金属を引っ掻き、部品が外れて暴れまわっている音と表現しましょうか。 
 
  
この時点で。このいずれか。

クランクが逝っていて、ピストンもかなり激しいダメージがある。
 
もしかするとコンペンセーターが、とんでもなく痛んで、緩んで、擦れて回っているかもしれない

 
 
この2点が同時で起こっていると見受けました。(その位の激しい異音だったのです)
 
 
音から想像した、エンジン内部の想定ダメージから、悪い方で想像して、大体のざっくりとした概算をお伝えすると、げげげっと。そりゃそうですよ。エンジンは開けないと御見積は難しいので、まずは開けます。
 
 
 
 
 

はい、出てきました。
 

ピストンのダメージは想定内。硬いベアリングのスラッジが悪さしましたね………
 

シリンダーもシマシマのタイガースでございます。ここまでのダメージは、クランクが逝っていないと、なりません。
 
 

あらら、アウトアウト。
 
勢いよく開ける前に、クランクのRunout値をチェック….。 規定値を軽くオーバー。アウトです。エボは標準ギアドライブなので、Runout値は標準で厳しい。これはギア鳴り音でおおよそ判断出来る事ですが。
 

いよっしゃー 取れたどー
 

出てきました。この度の問題箇所。
 

コンロッドのベアリングレース・クランクピン・そしてコンロッドベアリング それぞれ使用不可に。
 
コンロッドを外すのも、バールで、よいこらしょ!としなきゃ取れないほど、はめ合いが硬い。
 
本来は、クランクピン・ベアリングに適切にクリアランスがあるものなので、抵抗なくスルリと取れるが、違う。
 
まるで、圧入されているものかと思うほど隙間がない。
 
高年式エボで、結構多く見かける現象です。Runout値が大きく、腰上を開けてコンロッドを手に持ち回し、一部でクッと固まってしまう状況である場合、クランクに異常があるものだと判断します。96年か97年以降のエボで多く見かける症状。  
 
やり直せば、問題はない事です。即ち、腰下の、がっつり・オーバーホールです。
 
 

クランクをやり直し、組み立て。 フライホイールのクランクピン締め付け時に用いるToolを用いて締めるも、これで0.1~0.2mmの振れ幅まで絞れる。あとは芯出しでRunout値を追い込む。
 
 

クランクはこれで完成。
 

痛んでいた純正ピストンはマーレピストンに。
 

深く刻んだスクラッチ


89.5mmのオーバーサイズでリカバーできるか….。
 
 
続く。
 
 
Posted by M.Yasuura