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FXRSリボーン / 1992MY LOW RIDER (FXRS)

昨年2024年12月24日、弊社公式LINEアカウントでご相談いただいたのが始まりでした。
 

本案件のメインは色のやり直し。加え、長く乗るためのオーバーホール。この二つが軸です。
 
FXRのユーザーはハーレーの中でも唯一無二の車両に強い思い入れがありますね。
 
FXRは今まで私も26年以上この業界を見てきてますが、一度は廃盤になった商品がサードパーティによって部品の復刻があったり。ショベルとはまた違った扱いを受けている特別な車両になりました。
 
 

2025年1月中旬ごろに弊社に車両が到着しました。
 
色や質感のディスカッションを重ね、プランが確定。
 
その詳細を記載します。長くなりますよ。
 
 
 
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プッシュロッドが曲がって入庫した件 / 2003MY FXST

(当記事はブラウザ Google Chrome推奨記事です)
 
 
馴染みのお客様から頂いた案件。昨年2024年6月の出来事。
 
従兄弟さんの車両でエンジントラブルが起こったのだとか。
 
「プッシュロッドが調整式のアジャスタブルに変わっていてリアのプッシュロッドが曲がっている」との事前情報があり、「むむ?」 と。
 
何もなければプッシュロッドなんて簡単に曲がるものではないから、もちろん他の原因が起因している可能性は疑います。

強度的に弱いものなら使用過程で曲がってしまうこともあり得なくもないので、まずはどちらにせよ交換必須なプッシュロッドを入れ替えて様子を見るも、リアに圧縮がかかってない状態なのを確認。コンプレッションテスターを用いなくても、プラグを抜いて指を押し当ててすぐにわかってしまうほどスカスカでした。

この時点で少なくともリア側のエンジン腰上まで開けるのは確定事項となり。
 
 
 
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ただただ、走る動画 / 1977年式 FXS ローライダー ショベル / 極寒試乗

ただただ、走る動画
ほんとそのまんまの動画で、試乗の際についでにGo Pro付けて撮ってサクッと編集しているだけの動画ですが ファンが地味に多いカテゴリとなっています。リキんで作った動画は大して跳ねず、試乗のついでに撮った動画がウケたり、何がどうなるか分からないもんです。
 
このFXSは広島県外の他店様にて購入後、乗れるような状態にないことから乗れるようにして欲しいとの依頼がありました。どの程度乗れるような状態になかったのか簡単にお伝えすると、トランスミッションのケースをフレームに固定するナットがあるのですが、それが全てありませんでした。まさかのミッション、乗っかってるだけというオドロキ。
 
逆にエンジンの始動もままならず、そこで乗れるような状態ではなかったので、動かさなくてよかったです。
 
直したところは挙げたらキリがないのでここでは割愛しますが、オイル漏れは完全に止めてやりました。
 
行ったことを列挙しますと、1200用のマーレピストンツインテックイグニッション(シングル)
 
1977年のFXSに標準装備の初代ケーヒンバタフライはケーヒンバタフライの中でも別格に出来が悪いためCVキャブへの交換を行い、その際に用いるマニホールドはキャブレターを支えるステーに負荷が少なくなるよう配慮する必要があるために、なるべくエンジン側にINでいるショートマニを使いました。いつもの45仕様です。

ロッカーマウントキャブサポートブラケットを固定するいつものねじ山がないので確立されている取付方法は使えない。問題はここでした。ロッカーカバーを後期型に変えることも、現状のロッカーカバーに手を加えることもNGになっていたのです。
 


取り付け方法について色々思案しましたが、ネットで探してもまだ他では見たことが無い取り付け方法になっています。
 
次も同様の依頼があるならこれかな、という落とし所です。ガッチリ止まってますのでバックファイアーが来てもキャブがポロリすること無し。燃料タンク装着状態でもキャブレターの脱着が容易に行えるように整備性についても考慮してあります。これ、大切なポイントですね。

ということで 遅くなりました。
2025年明けましておめでとうございます
今年もどうぞ45ディグリーをよろしくお願いいたします。
 
それでは御機嫌よう
 
 

お問い合わせはこちらから
 

Posted by M.Yasuura

117のミルウォーキーで多いお問い合わせの件

ども、マサです。
 
 
 
2022年以降からFXLRSやFXLRSTが117キュービックに代わり、それに伴い117エンジンに対してのお問い合わせが重なります。
 
まず、チューニングに関しては弊社ではBBTと表現してますがDirect Linkの一強です。
 
もちろんPowerVisionも有能ですがデバイスを所有して頂く、という点でデバイスが無くなった時、またはこういう手にありがちな「壊れてしまった時にどうする?」問題があります。よりチューニングを手軽に楽しむ、という点とサポート体制の優位性から2024年11月現在、Direct Linkが最優位でしょう。弊社ではライセンス・コード・キーというウェブライセンス式を2018年から採用しており、お客様がデバイスを所有する、という手間を省いています。
 
2024年11月現在、2023年以降のCVOと、2024年以降のツアラーでライドコントロールモードが変更できる車両では対応しておりません。あるあるですが、新しい機能を搭載してくるとECMが丸ごと変わってしまったり、そうではなくても小変更によってソフトウェアレベルが変わることでチューニングは対応しなくなってしまいます。仮にチューニングできるようになっても、チューニングはすじ煮込み料理みたいなものでブラッシュアップにやや時間がかかります。
 
そんなすじ煮込み料理みたいなチューニングですが、2021年にOBD2へ変更が加わったミルウォーキーソフテイルは現状全てに対応しています。
 

インテークマニホールドの変更に興味のあるユーザーも多いですが、やっておいて損はないでしょう。純正マニホールドがいくら耐熱プラスチック製だといえ、その成形方法からやむ得ないところもある事で「これ2次エア吸いまくってるね」というのは見ています。個体差とはいえ、ハズレを引いた時のがっかりはワカる。ご自身の宝物をより完璧にする、これにアルミ製のマニホールドへの交換はマストです。
 

次に117の車両でカム交換はマストか?という問いですが、マストではないです。
 
117の車両においては、元々カムは変わっています。
 
より、MORE、を求めると引き換え条件に「乗りにくさ」が備わる。
 
乗りにくさというのは、微低速でのギクシャク感です。ハギレとかアグレッシヴさを求めるとカム交換すると変化がありますね。
 

117の車両は微妙な立ち位置で、T-Manの216またはHRD の002を組みがちですが、弊社ではボアアップ用のカムとしての立ち位置で、これを117に組み付けることは可能だが、結果が伴うかは別問題。なぜなら、一番使う領域のトルクがベッコリ凹んでしまうから。
 
117の車両で低速のトルクが欲しいし乗りやすさも必要、でもカム変えたい、というユーザーは、カムは変えないでください。
 
117でポテトサウンドにしたいユーザーもカムは変えないでください。
 
117はそのままで低速のトルクは十分ありますから。チューニングで手応えを変えたら乗りやすくていいんです。
 
 
 

それでもやってみたい人は、結果はこんな感じになります
緑のグラフは117のエンジンそのまま
赤いグラフは117でカム変えたグラフ
 
それぞれチューニング後での比較です。
 
弊社ではオーバースペックなカムは店頭でもご案内していません
 
純正状態から底上げしたような仕上がりです
 
ネットでよく見かける、凹んだ後でグイッと上に伸びるグラフばかり見てる人には物足りないと思うか、おお、と思うか。様々でしょう。
 
店先でお客様同士で会話されてるのを盗み聞きした時は、おお!と思ったという声を聞きました。感じ方は様々ですね。私は一過性のものではなくて、続けて乗っていくのにふさわしいものをご案内したい、と考えておりますので、インスタ映えするものではないかもしれません。

 

117の車両でジキルつけてるんだけど、オススメのカムありますか?これも多いけど、結論スパッというと、無い。
 
ジキルつけてる段階でJMCAプレートによって合法の盾がありますが、エンジンに手が加わってるとその効力が無くなります。
 
その、エンジンに手が加わってるというのはカムが変わってるところから含まれます。ボアアップは論外
 
無負荷状態で騒音測定回転域付近になると弁が閉じるプラグラムがされたジキルもありますが、それも全てではないし、弁が閉じれば騒音値も下がるのでカム変えてても合格ライン以下に騒音値がおさまることがありますが、基本のそこは知っておかなければいけないと思います。
 
詳細は割愛しますが、JMCAはそれ自体が特殊で、効力が限定的。ハーレーの純正マフラーなら音量を超過しなければ大丈夫です。ボアアップでもOK。JMCA縛りだけの特殊ルール。
 
なので、JMCAプレート付きの117、カム、変えないでください。色々やねこい話がついてくるんで。この辺りからJMCA縛りの側面が見えます。
 
趣味性の高い乗り物は、その存在自体がウルサイものだと私は感じています。外観も特徴的で、主張も普通ではない。そこに騒音まで大きくなると悪目立ちするのは間違いなく、住まいがマンション住まいで、さっと音を小さくしたいのならジキルの優位性はキラッと光って見えますが、SNS上に溢れている様々な誘惑が全て取り入れることが許されるものではなくて、想像してるよりも効力が限定的。
 
ミルウォーキーのソフテイルに乗っててジキルにしてます、カムも変えてます!いうて、ネットで配信してる人を見かけると、十分な説明受けなかったんだろうなあという気持ちで見ていることがあります。そこで指摘することはないですが、そっと、ノーコメントで、そういう気持ちで見ている、ということです。
 
ハーレー界隈はこれまで合法というものに恵まれてこなった側面もあり、せっかくいい盾をもらったのに上手な使い方が出来てないことが多い。JMCAプレートあるから無敵じゃん!でも実は違う。
 
ただ、JMCAプレートついてても、現状の日本の決まりではチューニングがNGではありません。
 

原動機載せ替えなどによってVIAなどでガスレポが必要にならない限り、アイドリング状態での測定でこの値を超えなければOKとされています。JMCAプレート付きでチューニングNG!という話があるのなら、それは素人にもわかりやすくするために個人的に偏ったことを発信してるんだな、とご判断ください。
 
それでは今日はこのあたりで
 
posted by M.Yasuura