「走ってみてナンとも無いから。」
怪しげな事をすると決まって出る台詞。オイル・三拍子etr・・・内燃機関では、走ってみて症状が出ては遅いトラブルもございまする。三拍子が大好きで、刻むほどアイドリングを落としていたその人が、それを手放した際、恒例のリフレッシュをする為にエンジンを分解してみて派手な修理が必要だったエンジンもありました。幸か不幸か音でハッキリと解るほどの症状は出ていません。しかし持ち主が納得の上で壊したのだから文句は言えない。ただ、持ち主が納得出来ない壊れ方も、中にはある。
エンジンの組み間違えでオイルラインを潰して組んだ事でクランク軸のベアリングにオイルが十分に供給されず、一番大切なベアリングが剥離し壊れたエンジン・・・・。
それはツインカムエンジンの”チェーンカム”も似たような物かもしれません。
その一例。
「エンジンが唄いはじめた(変な音がし始めた)」
開けてみると・・・
ベアリングが粉々。
このベアリングは↑のクランクケースに圧入される。
カムチェーンテンショナーは厚みも十分で消耗していなかったが、チェーンカムで最も恐れている事態が発生してしまったのです。堅い金属粉がエンジン全体を回り、オイルポンプにピストン、全部×。こうなると、修理が大変で普段の3倍も手間が掛かる。出来れば、こうなる前に修理なり改善をさせて頂きたい所だが、なかなか難しいところ。
ギアードライブ化すると、カムが向き合わない、の意味が判り難いとの事で、ここで補足。
純正のカムでここまで接近しませんが、TW60ほどにもなればここまで近づく。
そして今回と同じようなトラブルがこのカムで発生すれば・・・
最悪の場合カムの山と山が衝突してしまう恐れもある。
もっとも、オイルを削いでしまうほど近いギリギリの仕様にはしたくないのが本音でもあります。
ツインカムの、あのエンジンにチェーンドライブはかなりの失敗だったと日々常々感じている次第でございます。
この度修理を機ににギアードライブ化するのでこの手の壊れ方はしなくて済むようになりますが、
使うベアリングも、ずーっと使える訳でもなくギアードライブのカムもいずれ、剥離をしてしまい、いつかは修理をしなければなりません。(ベアリングやカムが剥離して磨耗をすると、ガランゴガランゴと脱水機のような音がし始めますのですぐに解ります。)
チェーンドライブ特有の故障を避ける意味でも、チューニングに対するリスクを極力さける意味でも、ヘッドとのバランスを釣り合わせたなら、純正よりは遥かにロングライフなギアードライブ化は有効な手段です。