ショベル乗りの望みを叶えますっ✨ ”ツインテック 1005″

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ショベル80ciさん入庫。

こちら、昨年当社にてカスタム・整備を行い、販売した車輌です。 その際に、兼ねてより熱望されていたポイント点火への交換も行いました…。セルもない、キックスタートONLYなので、止めましょうとシツコク止めたのですが・・・「どうしてもっ!」という事で、負けてしまいました。


 
 
 
 
 
時が流れ。

・・・納車から一年が経とうかとしていた頃。

「高速道路で、もチョイ快適に走りたい」
という事でご相談承りまして。

一緒に走るのがEvoやTwincamになれば、ペースも速いし。
ましてやTwincamは当たり前に優等生。調子が悪くても優等生。

そりゃそうです。

ショベルは一般的には80km位(55マイル)で走るのが快適な乗り物という「言い伝え」もあります。

「カム交換かなぁ?」

というオーナーさん。
「エンジンが元気になれば、快適になる!」という事での考えでしょうか。

 

 

「そんな、カムに手ぇだす前に、やる事がある!!」

カム交換には、ストップをかけましたっ。

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少なくとも、今のエンジンでも生かし切れてないのでありまして。

NO
僕はノーと言える日本人でありたい。断固反対しました。

なぜ解ったか?シャーシダイナモに載せて、パワーチェックを行い健康診断を行ったからです。感覚で話を詰めてるんじゃあないんです。

そこで、なぜ出力が出ないのかの「ナゼ?」は把握しました。この、ナゼ?を解消しないことには、カム交換してパワーアップしようにも、その環境をまず整える必要があると判断して、カム交換に反対しました。

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とりあえず、純正エンジンを、より活かせる環境にするだけで、かなりいい感じになります。

のと。その後、カム交換してもより良い結果になるという事です。アレが、あのままじゃ、カム変えても、ねぇ〜?という事で。それらを、ひとつひとつ、消化していくにあたり。

今回はこちらを変えます。

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ど〜ん イグニッション一式です。

ポイントからフルトラ化でも、
マッピング可能なTwintec1005を採用です。

コイルもシングルファイアー対応の物に変えます。

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ポイント点火よ、さらばじゃ。ブルストの一式に変えていて、トラブルとは無縁なんじゃけどね。点火装置では、ポイント点火の様な「アナログ」では限界があり、今回のTwintec1005のような、デジタルに優位性があるのです。

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スパークプラグも取り外し。
抵抗入りのプラグにし、ポイント点火指定のギャップ値(隙間値)から、変更を加え隙間を広くとる。

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ポイント点火よりも広くギャップが取れるので、その結果。ギャップ値=火種の大きさとなり、大きな火種のおかげで濃い混合気でも確実に燃やせる環境となった。

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カムカバー内に収まりました。レブリミットの設定が出来るようになり、ポイントでは出来なかった「エンジンの使用最高回転数」が100回転刻みで設定できます。これも僕的な安心要素が増えました。

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ショベルにパソコン。似合わない光景???

パソコン使って、Twintec1005の点火マップの書き換えを行う。書き換えせずツルシのままで使うと「キックスタートモード」での使用をするのが基本ですが、ここではあえて基本を外してしまう。

というのも、キックスタートモードでは、レースアドバンスとなり、パワー的には満足いくものであるものの、快適性は狙った所までいかないこともあり、考えた結果、「基本を外そう」と。

高速走行時の不快な振動を低減させる目的も含め、快適性を含めて考慮すると、ショベルでは元々標準で使われていないVOESを機能させ、低負荷時と、高負荷時の「二つのマップ」が使えるようにします。VOESはエンジンの負圧に応じてスイッチされるセンサーです。

低負荷時はエンジン内に取り込まれる空気量が少なくガソリンも十分ではない。すると、燃焼室で燃えにくい環境となるため、出力が得られるタイミングにすると上手く燃えきらない事が多く、そうすると不快な振動なども多く発生してきますが、そこをきっちり円滑に燃焼されるようにすると、意図的に早めに着火する必要があります。

その”早め着火マップ” を 「低負荷用マップ」としてひとつ用意すると、あらふしぎ。体感的には「ブルブル」と不快な振動が、かなり軽減され、ショベルの、ハーレーの美味しい振動だけ心地よく伝わってきます。

高負荷時は十分な空気もガソリンも取り込まれるので燃焼されやすい環境となり、高負荷用の点火タイミングは出力が得られる最適なタイミングに合わせてあげる事で非常に気持ちのよい加速が得られるよう、仕立てる事が出来る。

今回はこのVOESを機能させ、快適性と加速性を両立させ、さらにキックスタートが可能なように仕立てます。ここが、デジタルだから可能な調整範囲の広さ。

巡行時は・・・加速時は・・・というプログラムが可能となり、瞬時に20°もの点火タイミングの切り替えを行ってしまうプログラムが組め、実行するこちらのTwintec 1005と比較すると、ダイナSやポイント点火では、三拍子に振ればイニシャルタイミング全体を遅くさせ、加速に振るとその反対。その調整はとてもデリケートで、なんと動ける範囲の狭い事か・・お客様の間ではTwintec1005の事を「文明の利器」だと言われていますが。お分かり頂ければ幸いです。

このVOESを使用する状態だと、キックスタートモードにはなっておらず、ツルシのTwintec1005のままではエンジンがかからないのが当たり前ですが、そこは、技術とチューニングでカバーという計算。

エンジンがスルっと始動できて、快適さも得て、パワーはもりもりっと。Twintec1005を組むよう、当社でお任せ頂ければ、このような仕上げでお渡しできます。


エンジン始動に移ります。
ま、とりあえず、ご覧くださいませ〜。