バッテリー交換後のトラブル / 2015MY FXDL

バッテリー交換後に、エンジンストールが頻発するとのことでご入庫。
 
これは、今年の4月の話。GWに入る直前だった。
 
それまでは調子良かったのに、と落胆するオーナーさん。
 
  
https://www.45degree.net/blog/?p=26220
実は、こちらの車両は昨年の4月に弊社でチューニングをご依頼頂いた車両でして。
 
FP3で既にチューニングされていたのだが、FP3でチューニングされた状態のまま、何故かFP3を返品されていて、FP3を用いて純正データに戻すことが出来なかったと記憶していたし、この経緯はシェアしていたはずの事と認識していた。
 
その事をお客様にお伝えするのですが、どーにも。話が噛み合わない。
 
……..なぜ、だ?
 
というのも、その間に所有者さんが新しくなっていた事が、お話ししていて分かった。
 
(私、最近では表に出てお客様と話す機会が減ったので、変わったことに気付けなかった)
 
 
なるほど、そういうことか….
 
ユーザーさんに事の経緯を淡々とお伝えしました。
 
 
 
 
 
以前のチューニングでは。
 
FP3で純正データに戻せないので、やむなしに、ディレクトリンクで同年式の同ソフトウェアレベルのORIファイルを用いてリセットをかけ、FP3データで出ていた異常な状態が取り除けたので、とりあえずOK!としておりました。
 
この、「FP3データで出ていた異常な状態」というのは、これもエンジンストールだった。
 
加え、とりあえず、OK!という言葉の裏は、ちょい問題はあるけど、まぁ許容できる範囲だから、OKというニュアンス。

このちょい問題はあるけど、というのは、クローズドループ制御を行うと補正されない症状があった。補正されないのなら、補正されないなりの方法もある。オープンループ制御にして根拠のあるVE値を入れて実側空燃比とターゲットラムダ値が沿うように動いているのが十分に確認できたので、OKとしていた。
 
しかし、バッテリーを交換したくらいで、エンジンストールが頻発するようになるのは初見の症状。聞いた事のない症状となると、前回の処方が正しくなかったのだなと断定。まずはリフラッシュを行うべきと判断。
 
ここで言う「リフラッシュ」とは、ハーレーディーラーさんで所有されているデジタルテクニシャンという設備を用いて行う「純正データー戻し(純正データの上書き)」の事を指します。
 
それでも上手くいかない未来も、FP3の場合は容易に見える。しかし、まずはリフラッシュが必要だと。
 
状況の大きな変化を求めるなら、FP3がない今では、リフラッシュする以外に望めないのです。
 
 

FP3で吸い出した純正データは、FP3で埋め戻すのが最もリスクの少ない方法という事を、周知願いたい。
 
 
そして、FP3を外すのならば、必ず純正データに戻して頂きたい。
 
で、ないと。ほんま困る事が起こってしまう。
 
今回よく判った。
 
 


↑この動画はGoogle Chrome推奨。ブラウザがSafariでは正しく表示されません
 
ディーラーさんでリフラッシュを行って頂いて社に戻り、ダイノルームにてデータを可視化して確認を行った。
 
すると、明らかな変化が見て判った。 
 
先に記述したクローズドループ制御を行うと補正されない症状が改善されていた。設定のラムダ値は補正がかかる数値になっている状況で、左が設定した基本のVE値に対し、右が積極的に動いている事からも、補正値がかからないという症状からは脱しました。大きく状況が変わった事が見て取れる。
 
が、エンジンがストールする症状は変わらん(←これ一番の問題)
 
こっから先は、純正コンピューター(ECM)に「教える」という作業を行いました。
 
これだけは、書き換えても、チューニングで過去に実績のある数値を送ってやっても、不調が出ているECMに対しては「教えて」やらんとダメという経験則。
 
純正コンピューター(ECM)の公表されていないオブラートに包まれている謎な箇所には、チューニングの領域でもない「記憶領域」に「学習する」という動きが確かに存在する。これ結構骨が折れる作業なんですが、そこを念入りに教えてやる事で、トラブルを脱した….
 
 
かのように見えたが、実際に走り出すと、時々止まってしまう。
 
この時は、また別の方法を行う。
 
文面見てるだけで、面倒そうでしょう。苦笑
 
そんな事を繰り返し、エンジンがストールしなくなったのを確認した後に、わざと、バッテリーを外して症状が再現されるか確認したが、エンジンストールの症状は確認されなかった。
 
バッテリーを外す、または、マキシヒューズを外し、一定時間を経過すると、ECMがリセットされる。リセットされるとはいえ、エンジンストールしていた症状が完全に無くなる事もあれば、その逆も然り。全然効き目がないこともある。やってみないと判らないとこ。
 
以上を確認し「バッテリー交換で、トラブルが再発するとは想定しにくい状況」と判断し、ご納車しました。
 
 
その後、「エンジンストールする事もなく快調に走っている」と後日のご来店で確認済み。
 
 
正直、ホッと、した。
 
 
 
….弊社、以前FP3でチューニングしていた件に関して、
  
FP3をなくした
 
FP3は返品した
 
その前置きありで
 
純正データに戻ってない
 
この場合は、リフラッシュしてください、と申し出るようになった出来事でした。
 
「FP3のデータ」はびっくりするほどバグが多い。
 
「FP3のデータ」は、バグのデパートです。
 
そのまま上書きしてチューニングしたら絶対に良くない。
 
弊社の設備を用いて、同年式の同ソフトウェアレベルのORIファイルを用いてリセットをかけ、FP3データで出ていた異常な状態が取り除けたとしても、こういうトラブルが後に起こる事も。
 
 
どうやったらFP3でチューニングしていた事が判るんだ?って、いう疑問に関しては
 
「FP3のデータ」の場合、特有の羅列があるので、そこから判断しております。
 
結構特徴的な羅列なんで、すぐに判るんです。
 
 
チューニングでトラブルは、あってはならんと、取り組んでおります
 
よろしくお願い致します。
 
 
併せてこちらもご覧ください
https://www.45degree.net/blog/?p=24663
 
 
https://www.45degree.net/order.htm
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posted by M.Yasuura