カムも変えればいい、というものではない、という記事 / 2016MY FLHXS

すでに他社様でお勧めのカムに変え、チューニングに納得がいってないとのことで、チューニングのみのご依頼の案件
 
2016年式でバンスのパワーデュアルのエキパイに、トルク抜けマフラーで有名なCFRが装着
 
カムを聞いて、「えっ…」と私の表情が曇ったことを先にお伝えしておきます
 
入っていたカムはS&Sの551というカムです
 
S&Sの記述を見てみました
 

カムのことを知らない人は大体これをみてギリギリいけるサイズを選んでいるが、それはセンスのない選び方 これは全く参考にならない

 
 
 

これも読んでいるが
 
 
 

私はカムのプロファイルを見て判断している
 
 
 

バルブリフト量 バルブデュレーション(作用角) オーバーラップ(オーバーラップは計算してみる)
 
この3つは どれもカムシャフトを構成する重要な要素
 
カムシャフトの選択は、ウェブの情報や、その他大勢が多く組み付け、その情報に流され選択しているのが実情ではないか、または、ここのメーカーなら大丈夫と妄信しているものと感じている
 
車両の状況(エアクリ、エキパイ、サイレンサー)でも大きく変わり
 
それに加え、排気量、圧縮比の要素まで加わると、その判断は容易ではなく、選択肢は一律ではない
 
 
過去に、一番大変だったセットアップがある
TC96にT-Manの555TQ(トルクスター)を組んだ車両だった エンジンはカムだけ変え、斜めに傾斜したバンス製のパイプが装着
 
これはシャシダイナモを備えチューニングを始めたばかりの他社様にて組み込みされ、お客様が「チューニングに納得がいかない」とのことで弊社にて再チューニング案件だったが、これが本当に大変だった
 
 
T-manの555TQ(トルクスター)というカムは、レッドロックハーレーにお勤めの小磯さんがSE110エンジン搭載のエンジンでカム交換をするにあたり、従来ラインナップにあった555Cのカムではトルクの凹みが出来てしまうことを解消する目的で、ディーラーでSE110エンジンに対してポンとカムを変えてOKの「ポンカム」をするために生まれたカムシャフト。
 
自身の業務の効率化のために生まれた製品は、110キュービックインチという排気量を有する割に9.2という低圧縮であるがSE-255のカムによって低速トルクが十分である事で「何かを大きく犠牲にしないとそれ以上が成り立たない(選択肢がない)」エンジンに対して向けてデザインされたカムだった。
 
要約すれば「圧縮比が低いから選択肢が極端にないのよ」ってこと。
 
 
それぞれのカムシャフトは組み付けは可能だが、適してるかどうかはまた別問題
 
SE110にはポンカムかもしれないが、そのほかはカスタムフィット
 
私も過去にTC96(改)にT-man 555TQを組み付けチューニングをしたことがあるが小磯さんに褒められるほどの成績でTunersNationにダイノグラフが掲載された
 
起こりうるネガティブな要素を潰した上で同じカムを用いても結果は異なる 予測が出来てたかそうでないかは違います
 
 
 
エンジン側で上手に決まってないことを、帳尻を合わせて欲しいと求められるのはチューニングするチューナー側に求められる悲しい出来事
 
カムを変えたことで悪くなってるなんて信じたくないから、チューニングの出来栄えを疑うのも理解できる
 
TC96に555TQトルクスターは、なんとかあわせることができても、いつもの何倍も時間がかかる割に、結果は最低だった
 
低回転でWOTするのはVEがMaxoutし下限値と上限値の辻褄が制約内に収まらず全くダメだったのでTBWにバリバリ制御をかける
 
この時は丸二日を要した記憶がある 上手に排気ガスが排出できない排気形状のため身体中、排気ガスの匂いに仕上がった
 
 
 
誤った選択を行った帳尻をチューニングでどうにか….は通用しない
 
Bestな選択を行ったカム交換のチューニングは、クセはあるが勘所を押さえれば長期戦にはならない 
 
これもチューニングを多く行ってきた私の感想なので熟練者のコメントと受け取って頂きたい 
 
「純正エンジンではないもののチューニングは熟練者向き」である 
 
しかし、熟練者でなくても積極的に挑んでほしい 
 
私も多く失敗をしてきたことで今があるのです 大切なのは過ちを改めること
 
 
当案件の結果を一応載せておきます
 
 

このような具合になりました
これではよくわからない? では純正カムとの比較はこちら
 

青いグラフが純正カムでの比較です
 
純正カムの方が上出来で、一瞬だけ551カムが上回ってるという成績
 
納車の際に「クラッチ滑りましたか」とオーナー様に尋ねられましたが、全然滑りませんでしたよと
 
そりゃそう、クラッチ滑りの多くは3000回転以下でトルクが芳醇にあることで生じる出来事
 
起こるわけがないセットアップだったので、起こりません
 
そのあとで、ありのままをお伝えしました
 
やっぱり、勧められたのものを組み込んだのだから、疑いたくはないですね
 
結果は、乗ったら解ります だから、ありのままにお伝えしました 嘘はつきたくないのでね
 
これに懲りず、またチューニングでご依頼頂けるのであればカムの選択を私どもに丸投げして頂きたいです
 
 
ミルウォーキー車両でカム交換が流行りましたが
 
それに釣られツインカムのカム交換まで引っ張られるのはいいが
 
ミルウォーキーのように高得点ばかりではないのよ
 
変えたことで悪くなってしまうことの注意喚起です
 
 
それでは楽しいハーレーライフを
 
 

 
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