「1000ccの優位性」

前回の記事に続き、改めて「1000ccの優位性」について。
 
まず、1000ccのことをご存知でない人の為に軽くご説明を。
 
ここで記述する1000ccとは、「以前、ハーレーのスポーツスターで存在した1000cc」ではありません。
 
883のスポーツスターを用い、ボアアップをすることで1000ccに排気量を拡大した車両の事を指します。
 
 

https://www.virginharley.com/feat/45degreesportster/
 
商品ページはこちら
https://www.45degree.net/Tuning/engine/MAHLE.html
 
1000ccの構想は遡れば2010年よりも前になり、実際に商品として販売を開始したのは2014年の6月から。かれこれ、7年も経つ。月日が流れるのは早いなぁ。(よかったらブログのアーカイブ遡ってみてください)
 
 
 
 
 
883を用いた1200のボアアップ
 
現代のようにシャーシダイナモが多く普及するよりも随分前から、先人たちが多く行ってきたエンジンカスタムの一つ。
 
私も1200ccへのボアアップは、同様に行ってきた経緯がある。
 
 
883をベースにする場合、基本は883専用となる燃焼室容量の小さいシリンダーヘッドをそのまま用いる格好となり、その為、フラットトップ形状のピストンでは高圧縮になりすぎてしまうことで、専用設計のリバースドーム形状のピストンとなります。(リバースドームとは、ピストンに凹みのある形状のことを指します)
 
この883専用のシリンダーヘッド をそのまま用いることでの、1200と1000での比較となる。(これが前提)
 
 
よく先人達が言われてきたことが「1200にすると上が回らなくなる」と。
 
そんなモンだから、「1200へのボアアップはやめておいた方がいい」、という883のベテランライダーもいらっしゃいました。

それ自体は私も体感として感じており、一時期1200へのボアアップはお断りしていた。
 
そんな中、誕生した1000ccへのボアアップ
 
883ccと1200ccの中間排気量に位置する1000ccのボアアップとは

1200のボアアップでは満足出来なかった諸々を上手に満たせるものであり
 
883のキャラクターを尊重しそれを美味く伸ばせるものとして考案し、誕生しました。
 
 
ここで、1200ボアアップと比較した1000ボアアップのグラフを掲載します
 
 

こちらは出力の最高値の比較です
出力そのものは1200ボアアップの方が上回っていますね
 
 

次は、速度に置き換えたグラフです。それぞれ、4速ギアで固定したものとした。
 
すると、出力では増している1200のボアアップでは、速度の最高値が137km
 
一方、1000ccの方では168kmとあります。
 
1200ボアアップは137kmまでの上昇は早いですが
あとで少し遅れてきた1000ccに抜かれてしまう、という具合。
 
一見、出力では優位に見えても、最高速度で排気量の少ない1000ccに抜かれる…
 
 
結局は、上まで回らないことが理由です。
 
上まで回らない理由。
883専用のシリンダーヘッドをそのまま用いた結果、1200ccの排気量に対して全然足りてないコトでの、容量不足。
 
 
883専用のシリンダーヘッド を用いている限り、ヘッドのフローを解決しなければ、排気量を増せば増すほど最高出力回転数はより低く出てしまう。
 
グラフでも見れますが、最高出力回転数の値以上では、前進力はありません。上昇限界がグラフでも見てとれ、グラフが右斜め下に傾いていては、実際の前進力はない。
 
 
改めて。
 
「1000ccの優位性とは」
 
1000ccピストンでは、ピストン単体での部品交換でバランスが取れる事にある。
 
(チューニングなどは別ですよ)
 
エンジンをカスタムしようかって話は
 
ピストンを変え、カムを変えて、ヘッドを弄って、と
 
エンドレスな話になってしまいます
 
1000ccではそれをする必要が全くありません
 
従来の感覚が身に染みてる人は信じがたいでしょうが、事実です
 
1000ccにしても、883のシリンダーヘッドを上手に使っている
 
これは、1000ccでの出力特性を見ればすぐにわかります
 
綺麗に、元の883のカーブを持ち上げた形になるのですから
 
1000ccにボアアップするということは
 
元々の883の持ち味を、美味く活かしたエンジンカスタムだとご認識ください
 
簡単にピストン交換して883の出力特性を上回る最高のパフォーマンスに出来ます。
 
 
ボアアップし出力を増すようなものを纏うとクラッチ問題も出てきます
 
ラバーマウントからのスポーツスターでは、ダイアフラムスプリングはそれぞれ専用品
 
出力を増すと、避けては通れないクラッチ問題
 
1000ccではクラッチのダイアフラムスプリングは883のもので大丈夫です
 
クラッチプレートが痛んでいる場合は交換することもありますが

社外で接触面積が増すいいものがあり、交換するだけで滑りが解消できます
 
ダイアフラムスプリングを強化するまでは必要ではありませんので、クラッチも優しいままです
 
1200ccにする場合は強化型のダイアフラムスプリングへの変更が避けられません
 
 
883の「好い感触」はたっぷりと残しつつも、1000㏄にボアアップするとで「物足りない感触」を満たす。

オーバーホール感覚で簡単に手に入る、ストリートチューニングエンジンのフィーリング。
 
 
強烈なトルクが欲しい訳でもない
 
「吹け上がり感、扱いやすいトルク感。このままでいいんだよ・・・でも、もうちょっと・・」
 
丁度良いバランスのまま、なにか施したい・・・
 
だから、1200cc化のボアアップではないな・・。

 
 
それが、1000ccにする事での、優位性です
 
 
 
https://www.45degree.net/order.htm
お問い合わせはこちらから。
 
 
posted by M.Yasuura