ブレイクアウトCVOの電気系修理 / 2013y FXSBSE

 
電気系の故障でご入庫です。2013年式のFXSBSE / ブレイクアウトCVO
 
 
オーナー様のガレージ中でセキュリティが鳴りっぱなしになっている状態でご近所さんから知らせがあり、止めようにも止まらない
 
バッテリーを抜いてすべてを止めようとシートを外したらバッテリーが膨張しまくった状態で見つかり
 
スピードメーターにはVINERR(ヴィンエラー)の表示もあったという証言もあり。
(VINERRは、ECM内部のVINナンバーが飛んでる事を意味する….これは色々と問題大)
 
 
ご指名頂いて、弊社までレッカーで運んで頂き。
 
 
さて、故障診断をしよう。まずは。
 
 
弊社にてNewなAGMバッテリーを接続し、ダイアグを確認しようかとしていた矢先。
 
 
突然セルモーターが威勢よくギャンギャン回りだす 
 
 
?????????
 
 
そりゃもう、もう、慌てた訳で。
 

 
大の大人二人がアタフタしだす始末….. 

あまりの意味不明な動きに、もしかしてセルモーター動かした…??いや、違うか。え、なんで? という視線の会話。

お客さんも隣にいらっしゃるところで。
 
この状況から、この故障が「タダゴトではない」のは察した訳で。
 
 
 
 
 
 

セルモーターは回るわ、ホーンは鳴るわ、ヘッドライトはチカチカするわ
(この状態では問題箇所を限定するため、容易に抜けるカプラーを抜いている状態)
 
 
 
ECM
P0505 / P1632 / U0001 / U0140 / U0141 / U0142 / U0156/ END

BCM
B2102 / B2103 / B2104 /

BCM は以下の構成部品に対してBCM ターミナルL3 から12V システム電源回路を供給し、また監視する。
* イグニッションコイル
* アクティブインテーク
* アクティブエキゾースト
* フロントフューエルインジェクター
* リアフューエルインジェクター
* パージソレノイド
* ECM
* フロントHO2 センサー
* リアHO2 センサー
* フロント ACR
* リア ACR
B2102 システム電源出力高短絡
B2103 システム電源出力低短絡
B2104 システム電源過負荷出力

B2107 / B2108 / B2109 /
アクセサリー、ホーン、ランプ、およびセキュリティ

B2121 / B2122 /
B2121 スターター出力の断線
B2122 スターター出力のハイ側短絡

B2127 /
原因
ホーン電源回路の短絡

B2132 / B2136 / B2137 / B2139 /

B2132 ハイビーム出力のハイ側短絡
B2136 ロービーム出力の断線
B2137 ロービーム出力のハイ側短絡
B2139 ロービームの過負荷出力

B2151 / B2156 / END

B2151 左リアターンシグナル出力の断線
B2156 右リアターンシグナル出力の断線

DTC消去後もB2132 は継続

SPDO
B1210 /
B1210 フューエルレベルセンダー、ロー側短絡/断線

U0121 / U0140 /

U0121 ABS と通信不能、BCM またはスピードメーターから設定される
U0140 BCM と通信不能、スピードメーター、ECM、またはABS (装備車の場合)から設定される

U0100 / END

U0100 ECM と通信不能、BCM またはスピードメーターから設定される

ABS
U0001 / U0140 / U0142 / U0100 / END

U0140 BCM と通信不能、スピードメーター、ECM、またはABS (装備車の場合)から設定される

自分のメモ書きからコピペしましたが、これだけ、エラーが残されていました。
 
 
 

 

冷静に切り分けて考え、「どう考えてもこれしかない」、となり。ECMを外し(細かい石やら噛んでて、脱着容易なカプラーが強固に外れないというオプション付き。泪)
 

リアフェンダーも、泥除けも、リアタイアも外した最深部にある、これ。BCM(ボディコントロールモジュール)
 

取り外したBCMを振ると、中からジャバジャバと音がする…. 水です。
 
 
この問題箇所にたどり着く前に、その異変には気付きました。
 
 

BCMに接続される、この赤い配線の先
 
 

防水処理が施されていますが、ここが変形していました
 
 

これは別の箇所ですが、こんなふうになって出てきまして。
 
結果、水の通り道が出来てしまい
 
 

これは、BCMの赤い配線が接続される箇所ですが、よく見てください。
 
拡大してみましょう…..
 
 
 
 

下に、黒い穴が見えるの、お解り頂けますか。
 
もし、防水カプラーを通過してしまうと、BCMの内部へ入ってしまう。写真ではうまく写せなかったが、基盤がすぐ見えます。
 
これで、なぜBCM内部へ水が入ってしまったのかは、わかりました。
 
 

だからと言って、すぐにBCMを取り寄せた訳ではありません。
 
新しいハーレーで、BCMが搭載されたキーレス車両において、トラブルが発生している報告を受けておりまして。
 
その症状は、バッテリー交換の際に正規の手順を踏んだにも関わらずBCMが逝ってしまい、うんともすんとも言わない
 
同時にECMもスピードメーターも変えないと、せっかく交換したBCMまでまた逝ってしまうという….(BCMは、10万超え)
 
 
今回は、バッテリー交換でミスったとか、云々
相当にかわいいほどのトラブルが出ておりますので、そりゃ慎重に調べました。
 
BCMがいかれてしまっており、正常な通信はそれでは望めませんが、ECMは、BCMと対になっているもの。
 
それとでないと通信は行えない。まあ、ややこし..苦笑
 
 
診断用のBCMや、ECMへの通信を試みて正常にデータ通信を行ってるなど、確認が行えましたので、BCMを交換して解決する、と断定しました。
 
 
ちなみに、BCMの故障は弊社では初の経験です。
 
 

左が、新たに取り寄せたBCM BCMは、そのまま使うことができるそうですが、それではエンジンの始動は初爆のみ。
 
予想通り、モジュールリプレイスメントを行わんといけん…。ECMを変えてもそうだもんね。
 
 

先の防水カプラーのシリコンには特殊なグリースを塗布しスムースに滑り込ませて入るようにも処置。
 
 

BCMの交換でリアホイールを外したんで、ブレーキパッドをみたら、このように。
 
 

こちらをご案内しました。弊社オリジナルのブレーキパッドNBP008 / https://www.45degree.net/Brakepad/27R.html
 
 

フロントのフォークからオイル漏れており、こちらも諸々交換しオーバーホール。
 
 

締めに、チューニングです。
 
2013年ごろに一度はチューニング致しておりますが、2020年に改め再チューニング。
 
当時用いていたデバイスの、TTSマスターチューン2を継続して用いた。
 
チューニングしている私自身が、MAP制御式をチューニングすることに対しての認識も改まり、測定方法や構築方法は2013年当時とは大きく異なります。
 
MAP制御の車両とは、スロットルバイワイヤ式の2009年後期から2013年までのツアラー(ツアラーCVO含め)、2012年から2013年までのソフテイルCVO系に限られる。
 
これらはいわゆる従来のセオリー通りにしているよりは、セオリーを外して行う方がMAP制御車両においては走り心地もフィーリングも良いことが、後に気づいた次第で。
 
チューニングというのは、教科書が存在する訳ではなく、誰かが親切丁寧に教えてくれるものでもない。基本も応用も自ら気付かなきゃいけないところが多い。随時セルフ改正が入っております。

 
 

こちらがダイノグラフ。最高値なんてどうでもいいかと。問題は、気持ちいいか、どうか。
 
 
 

弊社でご案内できるインジェクションチューニング
 
大まかに3つにわけてご案内できるかと今更ながら考えておりまして。
 
 
スマートか、スタンダードか、ダイナミックか、この3つ。
 
 
理想的な状態は、もちろん承知しておりますが、その上で3つ。
 
スマートは、ダイナミックな走りは求めておらず、理想的な状態でスマートに走りたいお客様に。
 
スタンダードは、オペレーターである私に任せても良いというお客様に。
 
ダイナミックは、チューニング車両の醍醐味を排気音でも走りでも最大限に楽しみたいお客様に。
 
※ 来来亭に行って、麺の固さを仰ってください、と同じノリで追加料金はここでは発生致しません。

 
今回は、特にご要望伺っておりませんので、スタンダードでも、ややダイナミック寄りに致しました。
 
 

こちらが、走行動画です。滑らかでいて、操作においてズダダダダッ!と走る様子、伝わりますかね。
 
 

 
 

ご納車できる状態になりました。
 
お客様、大変お待たせしました m(_ _)m
 
 
https://www.45degree.net/order.htm
お問い合わせはこちらから。
 
 
posted by M.Yasuura
 
 
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