ご納車前の色々 / 車体整備 / チューニング / 08y FLHTCU

次は車体整備に移ります。
まずは、リア回りから・・・と、スイングアームやリアタイヤ交換をしていこうとする前に、ここでエラー発生。リアのアクスルシャフトを抜き、スイングアームを上げると、プーリーに圧入されているシールドベアリングのシールが無くなった姿で出てきた。
 
しかもそれを隠すかのような、薄っぺらい丸い形の板で、蓋をされていました。明らかに意図的にされています。
 

スイングアームを上げなければ全く見えないベアリングですので、おそらく前回のタイヤ交換時にやりかぶったのだろうと推測。外観を目視確認するだけでは到底見つけられるようなものではありませんが、どうも責任はこちらにあるようです。私はこの事については伝えられてない事実だったにもかかわらず、早く確認しなかったアナタが悪いとなりました。これ以上話しても時間が勿体ないので自らの責任で直していきます。(こんな事もあるんです)
 
 

 
 
 

新品はこちら。スペーサーの役割も担う特徴的なベアリングです。パーツカタログによると、08年式のみ使われているようです。
 

プーリー全体をMedi-Bright処理し、塗装が剥がれていた所の凹凸をなくして同色のタッチアップを施し完了。
 

リアタイヤはメッツラーME880のNWSをチョイス。ホイールバランスは、バランスウェイトを新たに貼り付ける事なく釣り合った。珍しいですね。
 

リアが出来たら、フロント回り。
こちらは作業に取り掛かる前に、3点ほど気になる所を洗い出していた。
 
コーナーリング時の不安定さ。
パーシャル走行時のインナーカウルのビビリ。
あとはサスペンションの動き。この3点。
 
サスペンションに関しては、潰れたトマトの様な走り味で、気持ちいいとは言い難かった。
 

フォークオイルはかなりの痛み方です。
 

フォークオイルは45ディグリーでこれからリリースするオリジナルのフォークオイルを用いた。エア抜き時にもいい感じのダンピングが期待出来ると見込んでいましたが、組み立て後に走った感触は、フレッシュな走り味で、しっとりとしつつも、シャキッと機敏に動きます。
 

カウルのビビリについては、カウルを支えるフレームの折損が原因です。見込み通りでした。下手に熔接するよりも確実なアングル鋼を使います。
 
2006年FLHXが登場してから多発しているトラブルですが、ミラーをインナーカウルに取り付けるとFLHXに関係なく折れているのを頻繁に見ていました。インナーカウルにミラーを付けるだけで折れてしまうのでフレームの強度不足が原因だろうと考えます。今は形状変更して折れにくくなっていますが、初めからこの形にしたら良かったのでは??と疑問に思うのはハーレーの常。

 
その他、エンジン・プライマリー・トランスミッションのオイルも交換していますが、都合で写真は割愛!(^_^;)
 

最後に、要であるインジェクションチューニング。エンジンコントロールモジュール(ECM)の制御が重要です。これが悪ければ、すべてが台無し。
 

デルファイ製の高性能ECMを用いる。
ダイノ(シャーシダイナモ)上でインジェクションチューニング。セッティングを繰り返し最適な状態を作り上げていく。
 
チューニング・・・とは、調律する、という言葉です。音なら、音程 音合わせを行う事。インジェクションなら、それぞれの状況に合わせていく事。調律とは音楽でも用いられている通り、適切に合わせてあげる事です。ドならドで、レならレに合わせていく。
 
しかし、全く得体のしれないデーターを入れて、そのデーターを入れた作り手も、それが「適切」かどうかも確認せず、乗り手は当然ながら確認する方法などあるわけもなく、信じるしかない・・・これが、「チューニング」と呼ばれている昨今。実際にそれを確認してみると、A/Fが薄く、ノッキングもあり・・。合っているとは言い難い。エンジン温度は下がったから満足している、と口を揃えて仰る始末。それを調律と呼ぶべきか。末端のユーザーは、価格だけに注視するのではなく、大切な愛車に施す事なのだから、今一度考える必要があると、私は考えています。
 
 
 
パワーチェックのデーターです☟
 

2008y FLHTCU S&S Power Tune Dual ヘッダーパイプに、ラインハートレーシング4インチ。TC96 E/GでCamShaftは交換済み。
 
これだけでは、ノーマルTC96とどう変わったのか判らないので、同じヘッダーパイプにラインハートレーシング4インチとの比較をしてみましょう。この両者は、制御はDBWで、EXとエアクリーナー同じ、エンジン腰上のリフレッシュと、カム交換の差だけで、双方インジェクションチューニング済みでのデーターです。
 
 

馬力は14馬力・トルクは約1.9キロの差。こうして比較してみると、とても判りやすくエンジンの差が判りますね。
 
 

 
そして、完成し、ご納車日を迎えました。
 
 
元々ハーレーに乗っていらっしゃったので、扱いの部分では心配していませんが、
ツアラーに乗り換えた事など諸々の変化は大きかっただろうなあ・・・と思っていると、メールを頂きました。
 
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無事帰りました!今日はありがとうございました!
この日を待っただけあります。走るごとにすごさを感じています。まだまだこれからすごさを感じると思い
ます。マサくんに任せてよかったです。これからもよろしくお願いします!
また一月後に遊びにいきます。ありがとうございました!
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一ヶ月後に納車後の点検をさせて下さいと、お願いしています。
 
そう、これからが始まりですからね!
末永いお付き合い、宜しくお願い致しますm(_ _)m