2012年の締め括りのインジェクションチューニング
このお客様は45が開店当初からお付き合いのあるお客様。かれこれ16年位前!
最近ハーレーに再び乗り始めたとの事
13年のXL883Nをチョイスされたようです。
今現在はSEのエアクリに北米純正のマフラーですが
インジェクション883特有の違和感が気になっている様子でした。
インジェクション883特有の違和感は、(1200でも感じられるところですが)
1:トルクの落ち込み
2:加速が伸び悩む
3:エンジン始動時のアイドル回転数が高い
この3点はお客様から「どうにかならない?」と尋ねられる事が多いですが
僕が感じる違和感は、更に加えて
4:アイドリングでハンチングしている症状を見かける(完全フルノーマル)
5:エンジンが十分に温まるまで、アクセル開かなくても勝手に加速していく
トルクの落ち込みと、加速の伸び悩みについては、パワーカーブを見ていただければ解消されているのは一目瞭然ですが、その他、エンジン始動時からの回転数の高さについては、あまり語られることはありませんし、アクセル開かなくても勝手に加速していく事についても同様。ハンチングについてはエンジンがストールするほどでは無いので問題では無いと言えば無いのですが、あまり気持ちの良いものではありません。キャブ車で聞き慣れた音がインジェクション車からプスッと聞こえるのは相当違和感があります。。。えっ、これフルノーマルだよ??
一言にインジェクションチューニングと言っても、(チューニングする人で差があるところですが)こちらも違和感がない程度に調整を施す事が可能です。純正ECMの書き換えであっても、それが可能です。883で、エンジン始動時に異様に高い回転数って、実はどうにかなるんですよ!これ、もしかして朗報??
さて、いつも通りチューニングにかかるとしませう。
XL883N(2013年モデル)のチューニング依頼入りました!コショウの効いたポテトサラダでのオーダーです!
まずはこちらが北米+SEエアクリのチューニング前・・・
で連結部を独立させるものが入っています。電気の「合成抵抗」をご存知であれば、この状態は合成抵抗キャンセル状態です。
純正マフラーですから、抜けたマフラーではありません。という事は、これが起こす影響は数式化したように、すぐにお分かりになるかと。。
音は静かで、パワーを引き出したいので、再び合成抵抗状態にするべく、この蓋は取り外します。。
インターコネクトガスケットもチェンジ!!!
蓋を取り外した状態でチューニングに取り掛かる。
チューニングには直近で作った同等仕様のデーターを用いました。
こちらの記事でもアップしています。https://www.45degree.net/blog/?p=9673
そのデータを入れてのロールオンテスト。
緑色のグラフがデータのみいれた状態です。
このままでは解りませんが、これからきちんとチューニングしていくと
こういう事になるんです。
最終的に馬力は10hp、トルクは1.5kg-Mも変化しました。
落ち込みの大きかった低回転域でのトルクも、8割増し!
もし、僕が「同じ仕様だからデータだけ入れて終わらせりゃイイわ」と手抜きしていたなら、緑色のグラフで終わっていたでしょう。比較するとこれだけ違いが現れます。もちろん純正時と比べると遥かに良くなっているのですが、パワーが上がっていない以前に車両に対して適切に合わせられていないので、データだけ入れたのではチューニング(調律)したとは言えません。音楽、楽器を触っている人には当然の話だと思います。
具体的に、ハーレーのインジェクションsystemで重要な「Volumetric Efficiency (略してVE)」の値は60%〜70%の範囲で書き換えた。マフラー、エアクリーナーが同じ仕様でエンジンも同じ、排気量も・・・という同一条件であっても、同じマップにはならないという実例。手間はかかりますが手抜きをしないという事が重要です。コンピューターなのでデータという目には見えないもの。「きちんとチューニングしてあります」と言われてしまえば、それ以上の確かめようはお客様サイドでは術がありませんから、誠実にチューニングしているか否かは重要です。
(45でECMチューニングを通販しない理由はここにあります 原則 現車合わせなので)
音はこんな感じのポテトサラダです。
お客様へ納車後
「凄く乗りやすくパワフル!」とコメント頂きました!
という事で、2012年のチューニングは2013年モデルのXL883Nで仕事納めとさせて頂きました。
ではでは!